教材研究法

 高学年の教材研究で、一番時間をかかるのが社会の授業です。
水産業を教えるにしろ、江戸時代の身分制度を教えるにしろ、自分自身の知識では、1時間の授業を支えられないからです。
 発問作りには、時間はかかりません。
 養殖漁業と栽培漁業を教えるのでしたら、「自分がするとしたら、どっちをしたいですか。」と聞けばいいです。
 どちらの漁業がいいか理由を考えさせるなかで、養殖漁業のよい点わるい点、栽培漁業のよい点わるい点が見えてきます。
(こういうAかBかの発問をセレクト発問と名付けています。)
 農民のくらしや町人のくらしを扱うのであれば、農作業をしている絵や町人の町の絵を見せ、「この絵を見て気がついたこと・分かったこと・思ったことを書きなさい。」と問います。クラス全員で出されるたくさんの気付きから、当時のくらしを推測できるようなるのです。(このように多様な答えが出る発問をマルチ発問と名付けています。)
 発問によって、子どもたちの意見を出させることはできます。
 でも社会の授業としては、正しい知識、重要な点をしっかり教師の方から教えなければいけないのです。
 養殖漁業であれば、どのようにして養殖するのか、どんなものを養殖しているのか、どんな困ったことがあるのか、水産業全体としてどうなのか、などを教えなくてはいけません。遠洋漁業を狩猟と例えるなら、養殖漁業は農耕と例えることができます。江戸時代の農民を教えるなら、五人組制度、慶安の御触書、農具の発達などをきっちり教えておく必要があります。町人を教えるならば、当時の江戸についてもおさえたい。
 1時間の授業を支える知識を得るために、私は次のようなものを使って教材研究をします。

①教科書  ②資料集  ③電子辞書  ④インターネット ⑤教育書  ⑥教育書以外の本

 教科書・資料集は基本です。文字・絵・写真の3拍子があり、子ども全員が持っている点が役に立ちます。
 電子辞書は、分からない言葉をサッと調べるのに使います。
 リマン海流の「リマン」ってどういう意味だろうと思った時に、電子辞書で調べると「ロシア語で大きな河口」と出てきます。
(私の持っている電子辞書には、ブリタニカ百科事典も入っているので、歴史的事件を調べるのにも役立ちます。)
 インターネットは、GoogleかYahoo!を使って検索するのが便利です。歴史人物なら名前を入れるだけで様々な情報を引き出せます。Googleのイメージ検索やYahoo!の画像検索を使えば、絵や写真も引き出すことができます。
 教育書は自分の持っている分にあわせて、図書館で借りることもあります。

(2007.9.24)