まよい犬をさがせ

 東京書籍『新しい国語二年上』に「まよい犬をさがせ」という教材があります。
 副タイトルが「もののようすをわかりやすくつたえよう。」となっていますから、もののようすを的確に表現できるようになったらいいわけです。
 教材研究は、教材文を読むところから始まります。

 犬のタロが、たくさんの犬がいる「犬こうえん」にまぎれこんでしまいました。かいぬしの村田さんがこまっています。
 青木さんは、村田さんといっしょに、タロをさがすことにしました。
 さて、タロを見つけられるかな。

 最初のページです。(分かち書きのところはつめて引用しました。)
 下に、男の子と女の子が絵があり、吹き出しが書いてあります。
男の子「ありがとう。あのね、……。」
女の子「二人でさがせば、見つかるよ。タロって、どんな犬なの。」
 男の子の絵は教科書の右側、女の子は左側に描かれています。国語の教科書は、右から左へ読んでいくので、一見すると、男の子が先に言ってるようにも思えます。でも、会話をよく読めば、女の子が「どんな犬なの。」と聞き、男の子が「あのね、……。」と答えているので、女の子が先になります。
 ここはさらっとでも、どちらの会話が先で、どちらが村田さんでどちらが青木さんかを確認する必要があります。
 次のページをめくると、犬こうえんの絵が載っています。
「犬公園って、どんなところかな?」
と、予想させたり期待させてから、次のページをめくらせたいものです。

村田 耳が立ってるんだ。
青木 それから。
村田 せなかが黒くて、しっぽがかわいいんだよ。
青木 うん、うん。それから。
村田 首わに、タロって、書いてあるよ。
青木 ふうん。わかった。
 青木さんも、タロをさがしはじめましたが、すぐにこまってしまいました。
 どうしてだと思いますか。

 会話の村田・青木のところは、それぞれ顔の絵でした。
 教科書の見開き3分の2は、犬公園の絵です。犬が全部で21匹います。
 ここは、会話文を読ませる前に、犬公園の絵から、
「どんな犬がいますか。~犬というように書いてごらん。」
というマルチ発問を出した方がよさそうです。
 そうすることで、ようすを表した文がたくさん出されるからです。(板書させる方がいいでしょう。)

(2007.5.6)