勇眞氏の模擬授業は見事でした。わずか15分とは思えない内容をテンポよく進めていかれました。
これは何の写真ですか?
と言われて、勇先生は、4枚の写真を見せていきました。
1枚目……「酸性雨の写真です。」
生徒役の先生が答えると、勇先生はすかさず、
「そうです。酸性雨は環境問題です。」と、言い切って、次の写真を提示。
2枚目……「オゾン層の破壊の写真です。」
「そうです。オゾン層の破壊は環境問題です。」
以下、3枚目は水俣病で「公害問題」、4枚目も四日市ぜんそくで「公害問題」。
そして、5枚目の写真から、問いかたが変わりました。
この写真は、熱帯林の減少の写真です。
これは、環境問題ですか公害問題ですか?
「環境問題です。」と、生徒。
その後数枚を同じように見せて、問うていました。
ゴミ問題の写真の時は、「環境」と生徒が答えました。挙手で聞くと、ゴミ問題は環境問題だと考える人が、多かったです。
さあ、勇先生は、どう対処するかな、と思って待っていますと、
「私は、公害問題だと考えます。」と、勇先生は言い切って、次の展開へ進みました。この言い切りが、実に見事だと、感動したものです。
この後、生徒役の先生に、環境問題に対する仮説を書かせました。次のようなアウトラインをしめして、です。
A ~であれば、環境問題である。
B ~が多ければ、環境問題である。
C ~であれば、環境問題が起こりやすい。
D 環境問題であれば、~である。
「日付書いてますか。そういうことがきちんとできる人が、お勉強できるんです よ。」という言葉も心憎いです。
「箇条書きですから、1~、2~と書くんですよ。」
その後、数人の人の書いたものを机間巡視で読み上げ、
「こういうのでいいのですよ。」と、勇先生。優しい。
私は、「地球全体に関わるのであれば、環境問題である。」と、書きました。
「昨年の5年生で、最高27こでした。写真の読みとりのようにはいきません。」
事実に基づいた目安は、ためになります。
自分の書いた仮説の中で、重要だなと思うものに3つ丸をつけて下さい。
こう言われると、3つぐらい書くのは当たり前なんだと、思わされます。
その中で、一番重要だなと思うものを赤鉛筆で丸をして下さい。
ここで、勇先生は、赤鉛筆のない人に貸していました。ほとんどの人が借りにいってました。向山実践を忠実に守っているわけです。
「明日はもってきて下さい。」の勇先生の言葉で、会場内が笑いで包まれました。授業の中で笑いを生めるのは、授業がうまい証拠です。
黒板に書いた人は、一つ選んだ理由をノートに書いて下さい。
空白禁止の原則です。つくづく見事な授業でした。
(1999.8.23)