20代の授業づくり

 年齢別授業づくりについて考えてみます。

【20代の授業づくり】
(1)いろいろな実践を学び、自分の中に蓄積する。
 経験量が絶対的に不足しているのが20代です。
 この時に、数多くの教育書を読み、いくつもの講座やサークルに参加し、他人の実践を吸収していく必要があります。
 我流でできるほど、授業づくりは簡単ではないからです。
 この蓄積は、30代40代の時に、役立つようになります。
 すぐに役立たないのは、自分の力量が弱いからです。ドライバー技術のない運転手が、F1に乗るようなものです。すぐれた実践を成立させるための日々の取り組みというのが、20代の内は理解できないのです。
(2)つまみ食い的な追試はしない。そっくりそのまま追試する。
 すぐれた実践を追試するなら、まったくその通りにやってみることが大事です。子どもの状況に合わせて、授業展開を多少変更することは、20代では無理です。経験量の蓄積がないからです。
 すぐれた実践は、一つ一つの発問・指示が、それぞれ意味があってなされています。どれか一つを変えることで、授業を貫いている視点が崩れてしまうのです。

(2007.8.6)

 今日は、危険性について書きます。

(3)様々な実践を一度にあれこれ追試しない。
 様々な実践を学ぶことは、蓄積となっていいのです。だからといって、様々な実践をあれもかれもと追試してはいけないのです。
 それぞれの実践には、それぞれ違った教育思想が込められています。
 子どもに学力をつけたい、楽しい授業にしたい、追求する子どもを育てたい、意見が飛び交うクラスにしたい、など、様々なです。
 どれも納得のできる主張ではあるのですが、教室の中で共存できるとはいえないのです。
 例えば、「楽しい授業にしたい」と「子どもに学力をつけたい」の場合、「楽しければ学力が多少ついてなくても構わない」かもしれないし、「多少楽しくなく、つらくたって子どもに学力がつけばいい」かもしれません。
 20代の頃の私には、教育思想の違う実践を追試することの危険性に気付けていませんでした。でも子どもの立場になれば、その危険性は見えてきます。
 1時間目の授業では、楽しければいい、という感じだったのに、2時間目になると、楽しくなくても学力がつけばいい、という感じになっている。どっちの授業を先生はやりたいんだろう、ということになってしまいます。

(2007.8.11)

 具体的な授業作りについて、書いてみます。

(4)教えるべきことをリストアップする。
 教えるべきことが何かなのかをまず教師自身が把握する必要があります。
 把握の仕方は、テストでもいいし、指導書を参考にしてもいい。
 最低限、これとこれとこれは教えないといけない、ということだけは、きっちりリストアップしておくのです。
 なぜ、教えるべきことのリストアップが必要なのか。
 それは、授業がうまくいかない時の保険みたいなものです。
 経験が乏しい教師が、そうそううまい授業ができるわけありません。へたをすると、一時間の授業が成立しない時だってあります。
 うまく授業ができないときでも、最低限、リストアップした教えるべきことはへたでも教えておくのです。こうすることで、授業の進度が遅れることはありません。逆に、授業は成立したけど、教えるべきことは何も教えられてなければ、授業の進度はどんどん遅れていきます。進度が遅れれば遅れるほど、授業のやり方がどんどん追い詰められていくわけです。
 教えるべきことをリストアップしておけば、その教えるべきことを元に発問を考えることができます。何かをきっかけにしないと発問も生み出せないのです。

(2007.8.12)