平家衰退と学級崩壊

 井沢元彦『朝幕併存と天皇教の巻』(徳間書店2008.12)より。

「源氏をやっつけろ」という命令のもと、平家のメンツをかけ、大軍を擁して攻め寄せたのに、その軍が富士川でこてんぱんにやられてしまった。
 このとき、人々の認識が大きく変わりました。「何だ、平家なんてたいしたことないじゃないか。ひょっとしたら俺たちも勝てるんじゃないか」と思った人が現れ始めたのです。
 ですからこの富士川の戦いを機に、諸国の源氏が一斉に兵を挙げるという展開になっていったのです。

 なぜ、この部分を引用したかといえば、これが学級崩壊の過程に似ているからです。教師の権威が崩れていくとき、上記のような現象が起こっているのです。
 まずは、やんちゃな子が、教師に反抗する。直接反抗しなくても、ルール破りをする。その反抗やルール破りを教師がうまく捌けなかった場合、それまで反抗したい、ルールを破りたいと思っていた子たちが、「俺たちもやれるんじゃないか」と思って、反抗やルール破りが、クラスの中に広がっていくのです。
 平家は、自分たちばかり、高位高官につき、地方の武士の願いに耳を貸しませんでした。貴族は、武士の平家がえらそうにしているのが不満です。
 多くの不満は、一カ所のほころびがあれば、一気にふくれあがるのです。

(2010.8.23)