みんみん

 光村図書『こくご 二上 たんぽぽ』に、谷川俊太郎の詩が載っています。
 作者の工夫がよくみえます。
 同じリズム(4・4・2)のくり返し、倒置法、体言止め、文末が「み」で終わることなど。
 一つだけ異質な文があります。
「まっかに みのった ぐみ」です。他の文は、文と文がつながってます。ミンミン鳴く蝉をそうっと近づいて網でつかまえる。林の向こうの海の波がキラキラ輝いてる。ぼく(?)を読んでる声が耳に聞こえる。一番仲良しの君だ。床屋に行って髪を切ってきたんだね。とつながるわけです。
 でも、「真っ赤に実ったグミ」だけがつながりません。グミを辞書で調べると、「実は熟すと赤くなり、食べられる。《季 秋》」とあります。グミは、秋の季語なのです。
 一連を回想と考えると、まあ何とかなるんだけどね。

(2012.8.18)