ふりこ型授業を深めて

 8/17の考現学で、授業における公式のようなものを20個ピックアップしました。でも、今回の一点突破の講座では、1つのみを詳しく話します。
 20個を網羅的に話しても、それは参加者の中に落ちていかないと思うからです。「たくさんいいことを学んだ」という満足感はあるかもしれません。でも、数日たつと忘れて何も残ってないことになりかねないのです。
 今回話すのは、「ふりこ型授業」についてです。
 マイナス情報から入って、プラス情報にいくというものです。
「老化」の授業であれば、最初に老化によって困ること(マイナス情報)を挙げさせてから、年をとっても活躍してる人(プラス情報)を紹介していくような流れです。
 プラス情報だけを扱う授業(特に道徳が多い)は、浅薄で一方的で一面的授業といえます。
 この世には、いいこともあれば、わるいこともあるのです。プラス面があればマイナス面もあるのです。人間だって、善人は全てが善人なわけではなく、マイナス面も持ちながら、プラス面がより多い人のことでしょう。悪人だって、見えにくいだけでプラス面を持っているのです。長所・短所ともいえます。
 マイナス面とプラス面と両方扱うからこそ、深みが出るのです。
 ふりこは、左・右と振れていきます。
 大きく左に振れば、右も大きく振れ、振れ幅はどんどん広がっていきます。
 振れ幅が大きくなると、ふりこの一往復の時間は一定ですから、当然、おもりの速さは速くなります。
 マイナス情報があり、プラス情報があると、ふりこと同じで、授業の中にスピード感がつくのです。なぜか、感情がゆさぶられるからです。今まで、マイナスに向いていた思考が、プラスを提示されて、一気にそっちへ向きます。すると、ドキドキして心拍数が上がります。心拍数があがれば、時間の流れを速く感じるわけです。(結構、無理矢理な理屈ですが。)
 昔、『ゾウの時間ネズミの時間』(?)という本を読んだことがあります。動物の一生分の心拍数は同じという仮説が載ってます。寿命の短いネズミは心拍数が速く、寿命の長いゾウの心拍数は遅いです。ネズミは素早く動き、ゾウはゆっくり動きます。心拍数が速い動物ほど、動きが速く寿命が短いのです。でも、心拍数の回数は、一生分で同じです。
 なんか、ふりこの振れ幅と速さの関係に似ていませんか。
今回、講座の話をふりこ型授業に絞ったことで、上記のような思考を生み出しました。いろんな公式を浅く扱うだけでは出てこなかったことです。
 自分だけが語れることを語るには、一つのことを深めて語る必要がありそうです。これも、振れ幅を大きくすることとつながってるのかもしれません。

(2012.8.26)