[  ]は、《  》のなかまです

 昨日した国語の授業を書いてみよう。(『 』内が教師の言葉)

 黒板に今日の日付を板書する。
『ノートに日付を書きなさい。できたらできたと、言いなさい。』
 ほとんどの子が机の上に国語の用意をしていない。運動会のため、最近、時間割をよく変更しているせいもあるだろう。
「できた。」
『早い。上新さんはいつも早い。』
 あとは、ほめていく。(いつものごとく、ここは向山式。)
『まだの人がいます。遅すぎます。まだ書けてない人、立ちなさい。』
 こういう時、面倒なのがノート忘れ。うっかり忘れたことをくどくど言おうものなら、授業のテンポがくずれてしまう。今回は、私の国語ノートを破いて渡したが、忘れた時の対処の仕方を決めておくべきかもしれない。
(以前は、いらない紙をとって、それに書かせていた。最近、いいかげん。)
『教科書を開きます。』
 やる教材はわかっているから、いちいち言わない。
『連れ読みします。先生が読んだら、読みなさい。』
 全員が教科書を開くまで待たずに、読んでいった。
『人間は、動物のなかまです。』
「人間は、動物のなかまです。」
 期間巡視しながら、連れ読みしていく。その間に、全員の教科書が開かれる。 3段落まで、連れ読みをした。
『今日は、1段落から3段落までを勉強します。』
 次に、1~3段落を一斉読みさせた。それから、立って、隣りの子と交代読みをさせる。(一文交代)
『1回目は、男子からです。』
 3段落まで読んだら、再び1段落に戻って、今度は女子から交代で読む。
『どちらも交代して読んだら、すわって続けなさい。』
 立ってるのが3組ぐらいになった頃に、
『途中ですが、立っている人、すわりなさい。』と指示した。待ちすぎると、授業の時間が終わってしまう。
『一文交代で、全員読みます。3段落の終わりの文まで読んだら、1段落に戻っ て読みます。』とにかく、ひたすら読むのである。
 たしかこの方法は、水野正司氏が『知学の広場』で書いていたように思う。
 途中、どこを読むかわからない子がいた。その場に立たせて、他の全員が読み終わったところで、その続きを読ませた。
 全部で9文だから、全員まわると3回ちょっと。ここまでの音読をすべて合わせると、7回以上、1~3段落を読み聞きしたことになる。
 ここからやっと、発問となる。
『問題です。人間は動物ですか?○か×かノートに書きなさい。』
 手をあげさせると、×が一人だけいた。
 理由は言わせず、
『これは○です。どの文でわかりますか、教科書の文に線を引きなさい。』
 この指示は、2回くり返した。
 期間巡視してみると、ほとんどの子が最初の1文だけに線を引いている。予想どおりと言える。
『何本、線を引いたか聞きます。』
 ここで、「えっ」というつぶやきがあった。『線を引きなさい』と言われ、1本だけでいいと、勝手に決めていたからだろう。
 1本がほとんど。2本が3人いた。
 3人のうち、最初に当てた子は、「人間は、」と「動物のなかまです。」とに分けて引いていた。
『○○くんの線の引き方は、合っていると思う人?』
『まちがってると思う人?』パッと手をあげさす。
『これは、間違っています。先生は文に線を引きなさいと言ったのですから、最 初から「。」までが文です。』  
 こういう基本的な指導は、大切だと思う。
「文に引きなさい」と「言葉に引きなさい」では違うのである。
 次の子は、みんなが引いてないのを発表した。
 正解は、「人間は、動物のなかまです。」と「よく、人間は道具を使う動物だといいます。」の2つである。
 次に、文作りをさせた。板書「[  ]は、≪  ≫のなかまです。」
『[  ]と、≪  ≫ の中に合う言葉を入れなさい。先生入れてみます。』
と言って、「[正方形]は、≪四角形≫のなかまです。」と書いた。
『一つできたら持ってきなさい。』
 持ってきた文に○をつけて、板書させていった。「サルはゴリラのなかまです。」や「なおちゃんは、たくちゃんのなかまです。」などは、おかしいなと思ったので、?をつけた。(?の子も何人かは板書させた。) 
 しばらくして、全員すわらせた。板書の途中でもすわらせる。全部書いてなくてもノートに書いてあるのだから、続けて読ませればよいのである。
 まずは、黒板に注目させ、書いた子が次々と黒板のを読んでいった。

・スイカは、やさいのなかまです。
・エジプトハゲワシは、鳥のなかまです。
・えんぴつは、ぶんぼうぐのなかまです。などなど。

 最初に、?の文を検討した。『?をつけられた人、読みなさい。』
「サルはゴリラのなかまです。」
 これはゴリラという種類の中に、サルがいるわけではないから、違う。
「なおちゃんは、たくちゃんのなかまです。」なかまを友だちとか、相棒とかいう意味で使うなら合っているが、教科書の使い方とは違う。
 検討していくうちに、思いついたことは、「[  ]は、≪  ≫です。」と言い切ってみると、よくわかる。

・人間は、動物です。       ・スイカは、やさいです。 
・ペンギンは、とりです。     ・サルは、ゴリラです。 
・なおちゃんは、たくちゃんです。 ・えんぴつは、けしゴムです。

 そうすると、おかしいのが、すぐわかる。
 次に、教科書の文をまねて、読ませてみた。
『正方形は、四角形のなかまです。けれども、正方形は、ほかの四角形とちがっ たところがあります。どんなところがちがうのでしょうか。』
『ペンギンは、鳥のなかまです。けれども、ペンギンは、ほかの鳥とちがったと ころがあります。どんなところがちがうのでしょうか。』
どんなところが違うか、発表させた。
「飛べない。」「泳げる。」「南極にいる。」「寒いところにいる。」など。
『これなら、「ペンギンと鳥」という題で、話が書けますね。』
 残り7分で、新出漢字をやった。

(1998.10.3)