「海のいのち」の次の箇所で、一字読解の問いを作ってみました。
船に乗らなくなった与吉じいさの家に、太一は漁から帰ると毎日魚を届けに行った。真夏のある日、与吉じいさは暑いのに毛布をのどまでかけてねむっていた。太一はすべてをさとった。
「海に帰りましたか。与吉じいさ、心から感謝しております。おかげさまでぼくも海で 生きられます。」
悲しみがふき上がってきたが、今の太一は自然な気持ちで顔の前に両手を合わせることができた。父がそうであったように、与吉じいさも海に帰っていったのだ。
1)船に乗らなくなったのは、誰ですか。(与吉じいさ)
2)与吉じいさの家に魚を届けに行ったのは、誰ですか。(太一)
3)太一は、いつ届けに行ったのですか。(漁の帰り)
4)季節はいつですか。(真夏)
5)「ねむっていた」と書いてありますが、ほんとはどうなのですか。(死んでいた。)
6)眠っていたのではなく、死んでいた、ということが与吉じいさのどんな様子からわかりますか。
(暑いのに毛布をのどまでかけていたことから。)
7)「悟った」というのは「気付いた」という意味です。太一は、何に気付いたのですか。(与吉じいさが死んでること。)
8)与吉じいさは、どこに帰りましたか。(海)
9)与吉じいさに、誰が感謝しているのですか。(太一)
10)太一が与吉じいさに心から感謝している気持ちを表した言葉は、どれですか。ひらがな5文字です。(おかげさま)
11)与吉じいさのおかげで、太一はどこで生きられるのですか。(海)
12)「今の太一」の反対は、何になりますか。(昔の太一)
13)海に帰っていったのは、誰ですか。(与吉じいさと父)
問題を作っていると、すぐには答えられないような難しい問いも思いついてきます。例えば、
「生きます」と「生きられます」では、どう違いますか。
「生きられます」には、海に生かしてもらっている、というニュアンスがあります。ただ、そのことを子どもが気付くのは難しいです。
一字読解では、簡単に答えられる問題を出すことが重要なのですから。
(2000.10.22)