マイナス面を押さえ込みながら

 塩野七生さんのエッセイ集『ローマの街角から』(新潮社)に、次のような一節があります。学級経営にも当てはまることではないかと、思うのです。

 ここ十余年、第二次世界大戦後の日本を再建した功労者たちの権威が次々と崩壊するのを、われわれは見てきた。五十年もすれば、いかに巧妙に造られたシステムでもガタ(・・)がくる。なぜなら、神が造ろうが人間の所業であろうが、すべてのシステムにはプラス面とマイナス面があって、勢いに乗っている時期はマイナス面が押さえられているが、いったん危機に直面するや、それが噴き出すのを留めることができなくなるからである。昔がすべて良くて、今がすべて悪いのではない。マイナス面を押さえ込みながらプラス面を発揮させるという作業が、機能しなくなっただけである。

 黄金の三日間で、力を入れて学級作りをするのは、それが勢いに乗っている時期だからでしょう。2学期に入り、運動会・修学旅行と終わり、勢いがなくなってきた今の時期、特に学級経営には気をつけなければいけないのでしょう。
 とはいっても、同じ学級を50年も担任するわけではないのですから、すぐれた学級経営のシステムであれば、1年ぐらいは何とかなるかもしれません。

(2001.10.31)