井沢元彦『歴史「再発見」物語~意外な実相を読み解く~』(廣済堂2005.1.1)を読み終わりました。大阪の企業の会報誌の原稿をまとめたものなので、関西の歴史が多く書かれていました。図書館の本なので、気に入ったことをメモしておきます。
1)大化の改新はクーデター。革命…根本的な体制変革を目指す武力闘争。(例:フランス革命、王政→共和制)大化の改新では、天皇家が日本の主権者であるという事実は変わらないのでクーデター。
2)荘園とは、藤原氏の始めた合法的な脱税システム。荘園にある田畑は田畑ではなく「庭」だ。その収穫物は国家に納める必要はない。税金を納めたくない者が藤原氏に土地を寄付し、所有権は元のまま、名義料を払う。そのことによって、国家財政は破綻。治安維持もできない。武士の誕生。
3)日本歴史上最大の布教者、蓮如。「御文(おふみ)」と「講」を生み出す。御文…庶民に分かるような文章で仏の教えを書き表したもの。講…サークル活動。蓮如以前は、坊さんは寺にいるもの。それが、坊さんが出かけるように。
4)昔の都市は政治権力中心型。攻められにくい山に囲まれた土地を都にする。例:京都。大阪は経済中心型。攻められやすいから大阪城ができた。
5)刀狩というのは、秀吉の「わしが天下を統一した。これからは治安に関する責任は武士が負うから、それ以外の国民は武器をすべて差し出せ」という意志。惣無事令=豊臣平和令「豊臣政府による全国的な私戦禁止令」。
6)「心中」は近松門左衛門。忠義の忠をひっくり返して、心中。
7)開国時、日本は「金1:銀4」。国際レートは「金1:銀16」。海外の銀によって、大量の金が変われ、日本国内はインフレになる。
8)「商」は古代中国の一民族の名称。殷の国の民族が「商」。周によって滅ぼされ流浪の民となる「商人」。生計を立てるため、旅の途中で仕入れ、需要のある地方で売る。それを商行為・商売という。商行為は差別された。
商人というのが、殷の国の民族名だというのが、とても意外でした。
商人というのは、自分では何も生産せず、物を左右に動かすだけで利益をあげている、ということで、差別されていました。
というのも、サービスや知恵(アイデア)というものに価値が置かれていなかったからです。
でも今の時代は違います。
サービスや知恵こそが、世の中を成り立たせてるといってもいいです。
特に、自給自足できない日本としては、知恵をもって生きる術というものをしっかり受け継いでいかなくてはいけないでしょうね。
(2006.10.29)