学力研ニュース用の原稿を依頼されました。テーマは「漢字が苦手な子でも漢字テストで100点を取れる実践」です。
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漢字テストで100点を取らせるのは簡単です。
問題数を減らせばいいのです。
たった1問なら、漢字が苦手な子でも100点は取れます。
ただ、10問、20問となると、難しくなってきます。
なぜかといえば、漢字を覚える仕組みが、その子の頭の中にできていないからです。
ステップ1 漢字を正しく覚える
最初は、筆順を唱えさせながら、指書きをさせます。漢字が苦手な子は、ここがおろそかになりがちです。自分の思うように漢字を書いてしまいます。筆順を無視した書き方をすると、漢字に共通する原則が身につきません。それゆえ、たくさんの漢字は覚えられなくなるのです。(つづく)
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ここまで書いて、筆順通りに書くことの重要性が、腑に落ちました。今日、ここで書くまでは、そこまで意識はしてなかったのです。
(2011.10.22)
漢字を正しく覚えるためには、当たり前のことですが、まちがった漢字を覚えないことです。これは九九の暗記のやり方に似ています。九九を覚えるとき、カードの表に九九の式、裏に答えを書き、表を見て裏の答えを言えるようにしていきます。この時、「7×6」を見て、すぐに「42」が言えなかったら、即座に裏返して答えを見るのがいいのです。覚えてないのに無理矢理答えを言うと、まちがった答えを言ってしまい、それが頭に入り込んでいく場合が多いのです。
漢字もまちがった漢字を書かせないことが大切です。
それゆえ、ノートに書いた一文字目を点検してあげることが必要です。
私の場合は、漢字スキル(ドリル)とノートの一文字目の2回、持ってこさせて、点検をしています。さらに、次の日に宿題として書かせたものも点検します。
ステップ2 うそテストをさせる
漢字テストの前に、漢字ノートにテストの答えだけを書かせるうそテストをさせます。自分で書いて自分で○をつけさせます。その○をつけたものをこちらで点検して、ハンコを押します。このうそテストが終わった段階で、漢字テストをさせるのです。覚えたつもりでいても、実際にテストをしてみると書けないことが多いので、このうそテストは有効です。
ステップ3 くり返す
以上のステップ1と2を原則通り、くり返すことです。漢字の苦手の子が、いきなり明日から百点を取ることは、なかなかあり得ません。
指書きで筆順通り書くことをくり返させ、一文字目をまちがわないように点検をしてあげ、うそテストを経て、少しでも点数をアップしていく過程をほめ、そうして、二学期の終わり頃に、百点を取れるようになってくるのです。
あせらないことです。むしろ、教師の忍耐力がためされるのが漢字実践です。
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こうして書いてみると、自分の実践が抜けているところがよく分かります。
原稿ゆえに、えらそうに書いていますが、私自身ができてないことが多いです。
指書きで筆順通り書くことの大切さを最近話していません。
漢字を空書きさせて、正しく書けるかどうかの点検ができていません。
いかに漢字指導が大事だからといって、教科書の教材を扱わないわけにもいきません。1つの教材を気合いを入れて教えようと思うと、45分あっても足りないことがしばしばあるので、なおさらです。
今日は劇の台本「職業体験ツアー」を書くのに、多くの時間を割いていました。
職業の中には、地道な作業をこつこつできる力が要求される仕事が多いです。 そういうこつこつ力というか忍耐力をつけるのに、漢字学習は有効かもしれません。学校の授業の多くが、案外、職業訓練になったりしているわけです。
(2011.10.23)