歴史の教訓に学べているか

「和をもって貴しとなす」十七条憲法の一節である。
 日本の風土は、独裁者をよしとしない。一人の人が何もかも決めてやっていくことを嫌うのだ。織田信長のような独裁者が家臣に裏切られて殺されるのも、日本の風土ゆえといえる。
 徳川家康は、それが分かっていたから、江戸幕府を老中による合議制とした。
 ただ、話し合って決めると、責任者がはっきりしない。みんなで決めたことゆえ、自分の責任が薄れてしまうのだ。
 それゆえ、責任をとって決断することに、日本人は弱くなっていく。
 幕末に、外国と不平等条約を結んでしまったのも、合議制ゆえの拙速と責任のがれの態度が生んだものといえる。
 それは、現代でも同じである。
 津波によって被害を受けた福島原子力発電所の対応も、後手後手になり、結局は深刻なレベルの災害にしてしまった。一人の責任者が即座に決定すれば回避できた危機が、合議制をとるゆえに、結局は対応の遅れを生むことになった。
 こうみると、日本人は歴史の教訓を生かし切れてない。
 歴史に教訓があることを教育者自身が示せてないからでもある。
 今年度の歴史の授業では、現代とからめてやっていこうと思っている。

(2011.5.4)