すれちがいの悲劇を掴ませるのに、浜上氏の実践は最適かもしれません。
(2)浜上 薫『「分析批評」の授業づくり4』(明治図書1992)
全発問・全指示が載っています。(全10時)
第2時で「ごんぎつねの『せっ定』を調べよう」のプリントを浜上氏は配布しています。前田さんの書いたものが紹介されていました。
あまりプリントは使いたくないですが、この表を作ると、全体の設定が分かりやすいです。特に、「近づいていったのはどちらか」を書かせると、 1~5の場面は全てごんだけが近づいて、6場面だけ、ごんも兵十両方とも近づいていっていることが分かります。
浜上氏は、さらにベン図を使って、ごんと兵十の関係を分析させていきます。
ベン図というのは、○が2つあり、端っこがお互い重なりあったものです。
6場面の近づいたをベン図 に表すと、右のようになりま す。(P.166)
どちらも近づいているけど、ごんは兵十のために近づき、兵十はごんを殺すために近づいています。
このこと以外に、ごんと兵十のひとりぼっちの違いも、ベン図を使うと同じひとりぼっちでも、ごんのひとりぼっちの方が哀れであることがよく分かります。
第9時の発問7「最後にごんは幸せでしたか。」があります。
これまでの授業の流れが影響しているのでしょうが、○が23人、×が9人で、圧倒的に幸せ派が多くなっていました。
○派の理由が「自分だとわかってもらったから。」「兵十がよろこんでくれたから。」で、×派の理由が「殺されたから。」「わかってもらえたのはうれれた後だったから。」「結局ひとりぼっちだったから。」でした。
どうやら軽く扱っただけのようです。(主発問にはなりませんね。)
(2008.8.14)