中西先生は、大阪教育大学の教授です。教えていただいたこともあります。
(8)中西一弘『文学言語を読む Ⅰ巻~「ごんぎつね」書く立場からのアプローチ~』(明治図書1997)
物語や小説の大きな骨組みをとらえるのに、一つ、簡便な方法がある。それはフランスの今は亡き評論家であるロラン・バルトが『新エッセ・クリチック』の中で提案しているものである。(P.34)
それは、下のようなものです。(矢印は省略。) 中西氏は、これを使って、「ごんぎつね」のお話全体を分析しています。(左下参照。)
① 書き出し(最初の状況)
② 変化を生み出すもの
③ 働きかける行動
④ 決定的な作用
⑤ 書き結び(最後の状況)
① ごんの紹介とごんのいたずら(紹介とその具体例)
② 葬式の一日─ごんの(いたずらへの)後悔と改心。
③ つぐないの行為─魚屋のいわしと、自分がとってきたくりやまつたけ。
④ つぐないの反応─兵十と加助の対話、それを聞くごん。
⑤ ごんの死─つぐないの結果。
つぐないの反応(引き合わないこと)が、ごんの死を導いたと分析できます。いたずらの後悔は結局きっかけであり、認めてもらいたい思いがごんを死へと導いていくのです。
(2008.8.22)