第6場面100の発問

「ごんぎつね」第6場面で100の発問を作ってみます。
 発問づくりで使うものは、光村四年下の教科書・電子辞書・伴一孝氏の「向山型「分析批評」の授業構想表」の3つです。
「プロの教師なら、20分程度で100問作れないといけない。」というようなことを伴先生が言っていました。今の私は何分で作れるのか挑戦してみます。

【「ごんぎつね」第6場面で発問づくり100問】
1)「その明くる日」の「その」は何を指していますか。(兵十と加助の話を聞いて、ごんが神様にお礼を言うんじゃあ、引き合わないなと思ったその日)
2)なぜ「その次の日」ではなく、「その明くる日」なのですか。(夜が明けた次の日だから明くる日になる。)
3)引き合わないと思ったごんが、その明くる日もくりを持って行ったのはなぜですか。(つぐないをしたかった。兵十に会いたかった。兵十に自分のことを分かってもらいなかった。など)
4)兵十は貧乏なのに物置があるのは変じゃないですか。(変かも。)
5)「なわをなう」とはどういう意味ですか。(草などをよりあわせて縄を編んで作ること。)
6)なぜ「それで」なのですか。(いつもは物置に栗を置いていくけれど、兵十が物置にいたから。)
7)ごんが栗などをなぜ物置に置いていくのですか。(兵十に見つかりにくいから。)
8)なぜごんは、「こっそり」入る必要があるのですか。(兵十に見つかるとひどい目にあわされるかもしれないから。)
9)うちのうら口から、こっそりとどこへ入ったのですか。(家の中)
10)「そのとき」の「その」は何を指しますか。(ごんがうちの中に入ったとき)
11)兵十が顔を上げたのはなぜですか。(偶然。)
12)なぜ「ごんぎつね」ではなく、「きつね」なのですか。(まず目にうつったのがきつねの姿。次に思い出して、ごんぎつねだと分かったから。)
13)兵十がうちの中に入るごんに気付いたことで何が分かりますか。(物置からうちのうら口が見えるということ。)
14)なぜ、ごんは兵十が顔を上げたら見えるようなうら口から入ったのですか。(うちの表は閉まっていた。もしくは家の正面から入るなんて思いもつかなかった。)
15)「こないだ」を今の言葉になおすと何ですか。(この間、この前)
16)「こないだ」とは、いつのことですか。(二、三日雨が降り続き、その雨がやんだ日。兵十がはりきり網で、魚やうなぎをとってた日。)
17)「ぬすんだ」と「ぬすみやがった」ではどう違いますか。(ぬすみやがったには、兵十のごんに対する憎しみの気持ちが込められている。)
18)「ごんぎつね」と「ごんぎつねめ」ではどう違いますか。(めをつけることで、兵十のごんに対する憎しみの気持ちが分かる。)
19)なぜ兵十は、ごんがいたずらしに来たと思ったのですか。(ごんがいたずらぎつねで有名だから。自分がいたずらでうなぎや魚を逃がされたから。)
20)「ようし。」には、兵十のどんな思いが込められていますか。(よし撃ち殺してやる。という思い。)
21)「なや」とは何ですか。(屋外に建てられた物を納めておく小屋。)
22)物置となやは、おなじですか。(違うとも同じとも想定できる。) 20分経過
23)なぜ兵十は火縄銃を持っているのですか。(猟師だから。)
24)猟師がなぜ、縄をなっているのですか。(昔は、縄ぐらい自分で作っていた。買えるほど豊かではない。)
25)猟師とは、どのような職業ですか。(鳥や獣をつかまえる人。)
26)「ようし。」は声に出していったのですか。(小さい声で言ったか、心の声。)
27)ごんの視点から書かれた文が兵十の視点から書かれた文になっている最初の文はどれですか。(そのとき兵十は、ふと顔を上げました。)
28)その文が兵十の視点から書かれてると思えるのはなぜですか。(きつねがうちの中に入ったではありませんか。と書いてあるから。ごんの視点ならば、きつねがとは言わない。)
29)兵十の視点だとわかるために、兵十の代わりにどんな言葉を入れればいいですか。(わたし)
30)戸口を出ようとするごんは、兵十が火縄銃をかまえている姿を見ましたか。(分からない。)
31)第6場面で出てくるオノマトペは何ですか。(ドン)
32)兵十がごんに気付き、火縄銃に火薬をつめている間、ごんは何をしていましたか。(うちの中の土間にくりを固めて置いていた。)
33)土間とは何ですか。(家の中で床を張らないで、土のままにしたところ。)
34)「兵十はかけよってきました。」で話者はどこにいますか。(ごんのそば。)
35)ごんのそばに話者がいると考えると、先ほどの文は何がおかしいのですか。(兵十がかけよってきました。にならないといけない。)
36)兵十のそばに話者がいると考えると、どんな文になりますか。(兵十はかけよっていきました。)
37)「兵十はかけよってきました」の文のおかしさを他にも指摘できますか。(次の文では、うちの中を見ると、は兵十の視点。兵十という主語がないのに、いきなり兵十の視点に変わるのはおかしい。)
38)なぜ、ごんはくりを固めて置いたのですか。(ごんの兵十への分かってほしい、神様ではなく、おれがくりを置いているんだという思いが込められている。他、いろいろな捉えた方がある。音を出すと、兵十に気付かれるからというのも。)
39)兵十はかけよっていく時、何を考えていましたか。(うちの中がいたずらされていないかどうか。)
40)それが分かる根拠を文の中から見つけなさい。(うちの中を見ると、と書いてあるから。兵十はうちの中に関心がある。)
41)「目につきました」とあるのはなぜですか。(くりがあるなんて思いもしなかったから。)
42)兵十はなににびっくりしたのですか。(くりをごんが持ってきたという事実を知って、これまでのおくりものが、ごんからだと分かったから。)
43)「ごん、おまいだったのか、いつも、くりをくれたのは。」の文は、どんな技法が使われていますか。(倒置法)
44)倒置法を使うのと、使わないのとでは、どのような効果の違いがありますか。(倒置法を使うことで、くりをくれたのがごんだったことに驚く気持ちを強調することができる。)
45)ごんはなぜ目をつぶったままつなずいたのですか。(死ぬ寸前で目が開けられなかった。)
46)くりかえされている表現は何ですか。(ばたりと)
47)兵十が、火縄銃をばたりと取り落とすことで、兵十のどんな思いが伝わってきますか。(取り返しのつかないことをした思い。) 40分経過
48)青いけむりは何を象徴していますか。(ごんの死。)
49)青いけむりを兵十は見ていますか。(見てない。ごんを見てる。)
50)青いけむりを見ているのは誰ですか。(話者。語り手。)
51)話者はなぜ、兵十とごんを見ないで、青いけむりを見ているのか。(あまりにも痛ましい光景なので、見ていられなかったから。)
52)兵十にうたれたごんは、兵十をうらんでいるか。(うらんでいない。)
53)うらんでいないと分かる文はどれですか。(うなずいたから。)
54)この「ごんぎつね」の話を最初に語り出したのは誰ですか。(兵十)
55)兵十がごんの話をすることで、村人はごんのことをどう思うようになりましたか。(いたずらばかりしてた憎いきつねから、あわれ、かわいそうなきつねだと思うようになった。)
56)うたれたごんのことをあなたはどう思いますか。(かわいそう。あわれ。他)
57)うった兵十のことをあなたはどう思いますか。(ひどい。かわいそう。他)
58)ひとりぼっちの兵十は、ごんのことを村人に話すことで、どうなったと思いますか。(ひとりぼっちではなくなっていった。)
59)1~5場面までごんの視点だけで語られてた話が、6場面で兵十の視点でも語られるようにしたのには、作者のどんな意図がありますか。(兵十の立場から見れば、ごんを撃っても仕方ないということを分かってもらうため。)
60)「足音をしのばせて」の「しのばせて」と似ている言葉を探しなさい。(こっそり)
61)ごんは「こっそり」何をしたのですか。(つぐない。くりを持ってきた。)
62)兵十は「しのばせて」何をしたのですか。(ごんを撃った。)
63)このお話の主題は何ですか。(人と人が解り合えることは難しい。)
64)1場面のごんと6場面のごんでは何が変わりましたか。(いたずらするごんから、つぐない・求愛するごんに変わった。無目的なごんから目的を持ったごんに変わった。など)
65)ごんの幸せとは何ですか。(ひとりぼっちでなくなること。)
66)ごんは、ひとりぼっちでなくなったのですか。(ごんの話が語り継がれることで、村人から愛される存在へと変わっていった。)
67)兵十は、火縄銃を意識して落としたのですか。(意識してない。)
68)第6場面のキーワードを選びなさい。(ごん、兵十、うたれる。)
69)第6場面を一文に要約しなさい。(兵十にうたれたごん。)
70)兵十でおわる文にしなさい。(ごんをうった兵十。) 60分経過
71)第6場面を読んで、分かったこと・気がついたこと・思ったこと・へんだなと思ったことを箇条書きしなさい。(略)
72)第6場面の主人公は誰ですか。(兵十)
73)なぜ兵十が主人公だといえるのですか。(兵十の心情の変化が一番大きいから。)
74)第6場面の最初の兵十と終わりの兵十はどう違いますか。(ごんのことを憎いと思ってた兵十が、ごんの行為に気づきとんでもないことをしてしまったと思う兵十に変わった。)
75)兵十の気持ちが変わったのはどの時ですか。(土間にくりが固めてあるのが目についたとき。)
76)「ごん、おまいだったのか、」は、?(疑問)、!(驚き・詠嘆)のどちらが強いか。(疑問とも考えられるが、驚き・詠嘆とも考えられる。)
77)疑問と考えられるのはなぜですか。(ごんがうたずき、そして、兵十は銃を取り落としているから。まだ兵十は半信半疑だったと考えられる。)
78)驚き・詠嘆と考えられるのはなぜですか。(兵十はびっくりして、ごんに目を落としたから。びっくりしたということは、その時点で、ごんがくりを持ってきたことに気付いたからだとも考えられる。)
79)命の危険までおかしてごんが栗を持ってきたのはなぜですか。(つぐないの思い。兵十に理解してもらいたい。)
80)つぐないの思いと兵十に理解してもらいたいという思いとでは、どちらの方が強いですか。(理解してもらいたい思い。)
81)理解してもらいたいが強いと分かる文をこれまでの場面から見つけなさい。(第5場面兵十のかげぼうしをふみふみ行きました。)
82)ごんのつぐないは、いつ終わるのですか。(兵十がひとりぼっちでなくなるまで終わらない。)
83)ごんは、どこから兵十のうちへ出かけたのですか。(自分のすんでる穴の中)
84)穴の中は、ごんにとって、どんな場所なのですか。(安全な場所。ひとりぼっちの場所。)
85)穴の中から兵十の家に出かける、というのはどういう意味があるのですか。(安全な場所から危険な場所へ。ひとりぼっちの場所からひとりぼっちではない世界へ。)
86)ごんが、兵十に見つかったのは、偶然ですか。(ごんが求めていたことかもしれない。)
87)ごんが兵十のうなぎをとらなかったら、どうなりましたか。(ごんは死ぬことはなかったかもしれない。けれど、ごんはいたずらによって、結局殺されてたかもしれない。)
88)いたずらばかりで殺されたごんと、第6場面のごんでは何が違いますか。(人とのつながりを求めたけれど殺された。でも、いたずらぎつねだったけど、かわいそうなきつねなんだと、兵十や村人からは分かってもらえた。)
89)6場面で心に残った文を視写しましょう。(略)
90)「うちの中へ入った」と「入ったではありませんか」ではどう違いますか。(入ったではありませんか。は、普通なら入らないものが入った驚きが込められている。)
91)「なやにかけてある火なわじゅう」から何が分かりますか。(火縄銃は日常的に使っていることがわかる。)
92)日常的に使ってなかったらどんな文になりますか。(なやにしまってある。)
80分経過
93)家の中で火縄銃を撃ったら、周りに住んでいる村人はかけてきませんか。(普通ならかけてくる。百姓仕事に出てるのかもしれない。)
94)第6場面は、つぐないを始めてから何日目のことなのですか。(6日目。もしくはもっと後。)
95)いつもくりを持ってくれることを兵十は誰のしわざだと思っていましたか。(神様。もしくは村人で兵十のことを考えてくれてる人。)
96)ごんをうつということは兵十は何をうったことになりますか。(神様)
97)ごんのように兵十に対して、栗を持ってくれる人はいましたか。(いない)
98)ごんをうつことで、兵十は何を失ったのですか。(自分のことを思ってくれる人(狐)を失った。)
99)ごんがした兵十への悪いことは何ですか。(魚・うなぎを逃がしたこと、いわしを投げ込んでいわし屋になぐられたこと。)
100)ごんがした兵十へのいいことは何ですか。(栗や松茸を持って行った。)
101)兵十がごんへしたことは何ですか。(火縄銃で撃った。) 87分

 1時間27分で、なんとか101問作りました。答えを一緒に書かなかったとしても、約50分はかかっているということです。20分で100問書ける人がどれだけすごいか、よく分かります。
 83~85問は、今回のことがなかったら、思いつかなかったですね。

(2008.8.26)