窓の開け閉めについて

 給食時間中だが、窓に近い1班で、もめごとが起こった。
 女の子2人が、「○○くん、私ら寒いって言ってるのに、暑いって言って、窓開けるぅ。」と、私に言いに来ました。
 どうもおさまりそうもないので、私は前に立ち、みんなにこう言った。
「給食中ですが、話し合いたいことがあるので、机を前に向けなさい。」
 そして、全員に私から事情を話した。
「どうしたらいいですか。意見を言ってください。」
 まずは、子ども達の意見を聞いた。
「寒いって言う人が風邪ひいたらいけないから、閉めた方がいい。」
「今は夏に近いから、窓は開けた方がいい。」
「窓開けるのを半分にしたらいい。」
 ちゃんと折衷案まで出るのだから、子どもも立派だ。
 挙手をとった。
「寒いって言う人がいたら、窓を閉めた方がいいと、思う人?」
 3分の1ぐらいの子が手をあげた。
「そのまま手をあげておきや。じゃあ、君たちは、どんなに暑くても、一人でも寒いという人がいたら、窓を閉めていいということですね。」
 そう言うと、手をあげながら、首をひねっている人が何人かいた。
 悩ませることはいいことだ。子どもには脳ミソを使わせねば。
「暑いって言う人がいたら、窓は開けた方がいいと思う人?」
 これも3分の1ほど。また手を挙げさせたまま、私は言う。
「じゃあ、冬の寒い時に、思いっきり遊んできて暑い人がいたら、窓を開けてい いんですね。」
俺って、結構、いじわるだな、と満足してしまう。
 半分ぐらい開けるにも、3分の1ほどあげる。
 さて、ここまで子ども達に聞いてきたが、結論は担任の私が出した。
「これは季節で変わります。夏であれば、窓を開けるのが当然です。寒い人は、半袖じゃなくて長袖を着てきなさい。ジャンバーを着てきてもいいです。ほら、○○くんは、ちゃんと長袖着てきているでしょ。」
ここで、ちょっと笑いもおこる。
「冬ならば窓は閉めます。暑い人は、服をぬぎなさい。ただ、空気の入れ換えの時だけ、窓を開けます。」
こういうのを臨機応変というが、それを子ども達の意見として出させるのは無理があるし、必要があるとは思えない。こんな時こそ、大人の智恵を子どもらに披露し、教師としての威厳を示せばいいのだ。
 ようは、まず、子ども達の脳ミソをつかわせることが、大切である。

(1998.5.6)