遠足にしろ、授業にしろ、「楽しかったですか」と聞くのは、なかなか聞きにくい。「楽しくなかった」という反応がこわいというものもあるが、子どもというものは、楽しいことがあっても、「楽しかったですか」に対して、素直に「楽しかった」と返せないのでは、ないかとも思うのだ。
むしろ「楽しかったですか」の言葉が、逆に、楽しくなかったことを連想させるような気もする。
そこで、「楽しかったですか」の前に、もう一つ、違うことを聞いてみることにした。
「今日の遠足、しんどかった人?」
私がこう聞くと、ほとんどの子が手をあげた。いっぱい歩いたし、子ども達も「しんどい」とか「疲れた」とか言っていた。
そして、次に、
「でも、楽しかった人?」と、聞いたのだ。
すると、これも、ほとんどの子が手をあげた。
まずは否定面を出させてから、その逆の肯定面を引き出すという手である。
また、一度、手をあげると、次もあげやすくなる、ということでもある。
まずは相手が認めることから聞いていくのが、セールスのテクニックでもある。
(1998.5.8)