アメリカの占領政策の意図

『齋藤孝のざっくり!日本史』(H19.12祥伝社)が面白かったです。
 特に第8章の「「占領」と戦後日本」を読んで、なるほどと思いました。

 なぜ当時、日本にこれほどの国際競争力があったのかというと、一つに低賃金労働者が大量にいたからです。(中略:荒井)
 日本の場合、問題の根本原因は、農村の地主的な大土地所有にありました。
 日本には、自分の土地を持たない貧しい人々が大量にいる。彼らは基本的には地主のもとで小作することで生活しているが、飢饉などがあると、その貧しさゆえ、食べていけなくなった人が農村から吐きだされ、町の工場に出てくる。彼らには返るべき土地がないので、安い賃金でも働かざるをえない。

 GHQの農地改革や財閥解体、労働改革によって、農地をもらえる自作農が増え、労働者の賃金や権利も上がっていったのです。
 このことは、GHQ(アメリカ)にとっては、日本国民のためではなく、日本の経済力を落とすためになされたことだったのです。
 経済力を落とせば、再び、軍事化することもないと考えたのです。
 アメリカの占領政策がなければ、今のわたしたちの豊かな生活はなかったのかもしれません。外からの力によって、弱者が結果的に救われることは、ある意味情けないことといえますね。

(2012.11.18)