高い要求をする

 ウォルター・アイザックソン『スティーブ・ジョブズⅠ』(講談社)を読んでいます。

 マッキントッシュのオペレーティングシステムを作っていたラリー・ケニヨンのところへ行き、マシン立ち上げの時間がかかりすぎると文句を言ったこともある。説明しかけたケニヨンにかぶせるようにジョブズは訊ねた。
「仮に起動時間を10秒短くするだけで人の命が救えるなら、そうしようと考えるかい?」
 そうするだろうとケニヨンが答えると、ジョブズはホワイトボードに数字を書きはじめた。世界中で500万人がマックを使うようになった場合、1日に10秒、起動時間が余分にかかると、年間、3億時間ほどの違いになる。言い換えると、1年間で100人分以上の人生に相当する時間が節約でいるというのだ。
「ラリーも感じるところがあったようで、それから数週間後、28秒短縮してくれました。」

 10秒短くするだけで、人の命が救える、という斬り込み方がすごいです。
 また高い要求をすることで、その人の能力をさらに高めてることが分かります。
 子どもを伸ばそうと思えば、高い要求も時には課していかなければいけないのかもしれません。

(2011.12.8)