はじめ・中・おわり

 3年の国語教科書に「まとまりをはっきりさせて書こう」という作文教材があります。

 ちょっと自まんしたいできごとや、友だちや先生に分かってもらいたいことを文章に書いてみましょう。
 大地さんは、うら山のたんけんをした時のことを、「はじめ」「中」「おわり」のまとまりを考えて、カードにまとめました。
 そして、そのカードをもとに、次のような文章を書きました。

 ポイントは、「はじめ」「中」「おわり」のまとまりにして書くことです。どこまでを「はじめ」にし、どこから「おわり」にするかが難しいようです。
 教科書では、自慢したい出来事や分かってもらいこと、というテーマ決めにしています。でも、テーマが子どもによって違ってしまうと、はじめ・中・おわりを決めさせるのが、難しくなります。
 最近、子どもが取り組んでいる共通のことはないか考えました。
 そういえば、11月11日(日)の作品展に向けて、モチモチの木を粘土で作っています。これを作文のテーマにしようと決めました。
「はじめ」に粘土を作る前にしたこと・見たこと・思ったこと、「中」で作っている時のこと、「おわりに」に作ったあとの感想を書かせるとよさそうです。

(2007.11.1)

 3年国語の「はじめ・中・おわり」を書かせる授業で、「モチモチの木を作る前に見たこと・したこと・思ったこと」を書かせて、板書させました。
 2組の子たちは、1組の子のできた作品を作る前に見ています。

・一組のさくひんを見てびっくりした。(守田)
・ざいりょうはどうしようかなやんだ。(小石)

「材料どうしようか悩んだ人?」と聞くと、多くの手が挙がります。時々、同じように思った人がいないか聞いていきます。友だちの意見と自分の意見が同じであることを知ったり、違うんだと気づいたりするのは大切です。こういうことを通して、人と人のつながりを感じ、つきあい方を学ぶのです。

・モチモチの木を見たときすごくきれいだった。(遠藤)
・そうぞうしただけでどきどきした。(山本)
・みんなはなにするんだろう。(光田)
・1組わすごいなぁとおもった。(山田)
・はじめはじゅんび室に見ていて、うまいなぁと思った。(小川)
・どれぐらい時間がかかるか考えた。(小川)
・モチモチの木をつくるのがたいへんだと思った。(大杉)
・「みんなうまいな。」と思ったけど、「おれも作れそう。」と思った。(北岡)
・むずかしいと思った。(三坂)
・はじめ、ぼくは、木に、鳥のすを作ろうとおもった。(蔭山)
・もってくる物を考えた。(山本)
・ほかのクラスよりきれいにするためには、どんなかざりをつけたらいいか考えた。(岡部)
・自分で考えた物のマネをしてほしくないと思いました。(熱田)

 熱田さんのような「マネをしてほしくない」という思いもくんであげることが大切です。基本線は、いいことはどんどんマネしていこうなのですが。
 発表のあと、原稿用紙を配りました。
 題名の行を開けさせ、名前は書かせます。3行目から、はじめの部分(モチモチの木を作り始める前のこと)を書かせていきました。書けた子は、私に見せに来て、合格した子から、作り始めたことを書いていきます。

藤田 凱大 
 はじめに、一組の作品を学年室で、見ました。次に四組の作品を四組の教室で見ました。それで、何を持っていけばいいか考えました。ほかに、何を作ればいいか考えました。
 さいしょに、木と板をもらいました。そして、板にねんどで木をつけました。

「はじめ」のところに、もっと思ったことが入っていればいいのですが、はじめ・中・おわりのまとまりで分ける目的は達しているので、いいのです。

(2007.11.3)

 もう何点か作文を紹介します。

遠藤 玲夏 
 私は、学年室に行き、モチモチの木を見ました。モチモチの木は高くて、長くて、すごくきれいでした。私もきれいなモチモチの木をつくれるか、しんぱいでした。だけど、私もつくれるようになりました。
 私がつくりはじめた時なにかをかんじました。それは、三年一組のやつをおもいだしました。それは、

「私もつくれるようになりました」ではなく、「私もつくることになりました」でないといけないのですが、まあ3年生なら仕方がないでしょう。

小川 剛 
 学年室に見にいこうとして、はじめは、何を作るんだろうと思ったけど、はじめたのはふしぎなモチモチの木というだい名だと思ってはじめたらドキドキした。
 作りはじめたときえつ先生がかみねんどをくれて、むずかしいのはその時です。モチモチの木を

 作文をドラマ的にするなら、「はじめ」の中に、作る前の不安な気持ち、心配な気持ちを書くといいのです。それが「中」で作り始め、「おわり」で作り終わって、安心した気持ちやうまくできた感動などを書くといいわけです。

(2007.11.4)

 3年国語の「はじめ・中・おわり」の作文が33人中31人の子が、できあがりました。(1人は欠席、1人は途中です。)
 できあがった子のを紹介します。

  わたしが作ったモチモチの木               浅井 美菜 
 わたしは、3年1組が作っている、モチモチの木をがくねん室に見にいってすごいと思いわたしもできるかわかりませんでした。何を持ってくるかもしらなかったです。どうやってうまく作ればいいかと思いました。
 わたしは、さいしょどんなかざりつけをかざろうかまよったけどちゃんとかざりつけができました。けどブランコをつくったけどこわれてしまって、いやでした。なので、木に、かみねんどで、フルーツを木につけて、ブランコはやめました。けどフルーツをつくってたのしかったです。つくったあとに家とか、豆太をつくってつかれました。ほかにも、ビーズや、わたや、モールをつかって、木にかざりつけをしました。つくりおえて、そのあとに、ねんどでいたのくろいとこをかみねんどでうめました。そのあとに、きらきらのピンクや水いろ、むらさきのこなをかけてかざりつけをしました。たのしかったです。ほかにビーダマやほしのビーズでかざりつけをしました。できあがったときどんなふうになってるかたのしみでした。かわいくできあがってほしいです。
 できあがったあとかわいくできてるかしんぱいでした。けどうまくできてたのでよかったです。しあげはもういいとおもいました。自分でもよくできたと思いました。

 これで原稿用紙(15×16)2枚と5行分です。
 わずか2時間(しかも1時間目は、はじめる前の発表も入れて)で、これだけの量を書けるのは、立派なものです。
 早く書き終わった子には、黒板に名前札をはらせ、別のことで「はじめ・中・おわり」の作文を書かせました。
「旅行に行く前と行った時のことと帰ってきた時のことでもいいし、ゲームをす る前とゲームをしている時とゲームをやり終わった後のことでもいいです。」

  かわいそうなくらげ                  えんどうれいか
 私は、海に行きました。海の中にかにと、くらげと、さかながいました。その時、わたしは、かにに、はさまれそうになりながら、つぎつぎとかにのぐんだんがきて、おおさわぎになりました。
 いった時くらげがいました。くらげは、どくをもっていませんでした。そのくらげは、もうしんでいました。かわいそうだと思いました。
 家に帰ったあと、あのくらげをおもいだしました。その時いっしゅんなきそうになりました。

(2007.11.8)