銀杏ちる

「金色のちひさき鳥のかたちして銀杏ちるなり夕日の岡に」
 与謝野晶子の作った短歌です。
 まずは語句の意味調べです。スーパー大辞林より。

【金色】黄金の色。金色(きんいろ)。
【銀杏】(抜粋:荒井)イチョウ科の落葉高木。高さは20m以上になる。葉は扇形で切れ込みがある。鴨脚樹。
【夕日・夕陽】夕方の太陽。入り日。また、その光。対義語:朝日。
【岡】周囲より小高い所。普通、山より低く、傾斜のゆるやかな所をいう。
【ちる・散る】①花や葉が茎や枝から離れて落ちる。
⑨(①から)戦いなどで人が死ぬことを美化していう。

 はやしの例会で授業しながら、次のような流れを考えてみました。

①ノートに写しなさい。
②小さい声で読んでみましょう。
③(数名指名して読ませる)金色は「きんいろ」ではありません。
④(数名当て、「こんじき」であることを教える)
⑤2つに切るとしたら、どこで切るといいですか。
⑥(それぞれ読ませ、理由を言わせる。「夕日の岡に」の前で切るのが妥当であることを語る。)
「夕日の岡に金色のちひさき鳥のかたちして銀杏ちるなり」とも読めるでしょ。
⑦どんなものが出てきますか。(銀杏・夕日・岡)
⑧夕日は見えますか、見えませんか。
(銀杏に夕日の光が当たってると考えれば見えない。銀杏の葉が夕日の光によって金色になっているから。)
⑨銀杏は何本ありますか。(岡田から1本と考えられる。)
⑩この詩は、明るい詩ですか、暗い詩ですか。(陰と陽ではどちら)
⑪(陰の根拠を詩の言葉を元に言わせる)「ちる」「夕日(夕陽ではない)」「ちひさき」
⑫この詩で強調されている言葉は何ですか。(「ちる」強調の「なり」がついているから。)
⑬この詩の作者は与謝野晶子です。とすると「ちる」にはどんな意味があると考えられますか。(死ぬ、戦死)
⑭「ちひさき鳥」は?(戦闘機)
⑮この詩に込められた想いを考えてみましょう。

 思いつきで、発問が浮かびました。(これまでの教師経験の賜なのでしょう。)
 あと、サークルで模擬授業することを通して、発問も浮かんできます。
 詩の情景をつかませるねらいも意識してみました。学んだあとに余韻が残るのも、詩の授業では大切だと思います。

(2006.12.16)