「ちょうちょのえほん」の授業の組み立てを考えます。
これを考えることで、この詩が授業できるようになる、というだけでなく、授業を組み立てる際の思考の流れみたいなものも探ってみたいのです。
マルチ発問「この詩を読んで、気がついたこと・分かったこと・思ったことを番号をつけて箇条書きしましょう。」
詩を何度も読ませた後に、子どもに発する第一発問です。
これを教師相手に使うと教えるべきことが出てしまう可能性があります。教える側としては、教えたい順序があり、一番教えたいことを最後の方に持って行こうと考えます。その一番教えたいことが、最初の発問で出てしまうと、予定していた授業の流れを変えなくてはいけなくなるのです。
ただ、教える側の力量が高ければ、出てしまった答えをさらに乗り越えるような学びを与えることができるものです。
あと、上の発問で番号を書かせたことで、教師は子どもが板書するものを指定することができます。取り上げておきたい意見、あとで取り上げたい意見を選択させながら、子どもの意見を板書させることも一つの技だといえるのです。
最近の私の授業は、番号を指定させ板書させる方法をとっています。授業をより学びのある形にするのに、有効な方法なのです。
(2006.12.28)
「この詩を読んで、気がついたこと・分かったこと・思ったことを番号をつけて箇条書きしましょう。」
という発問に、私が書いてみます。これも一つの教材研究です。教科書の問題やテストの問題をまず教師が解いてみる。子どもに描かせる絵をまず教師が描いてみる。といった教材研究と同じ方法です。
① ちょうちょのはねが絵本に見えるのかな。
② ひらいてとじては、はばたいているようすと、ページをめくるようすうをかねたもの。
③ ページ数も少なそうだから、みじかい春なのかな。
④ えほんじゃなくて本ではいけないのかな。
⑤ 絵本だから、いろんな色があるんだろうな。
⑥ 同じ文がくりかえし出ている。
⑦ 3連で構成された詩だ。
⑧ ちょうちょがえほんをひらいてる ひらいてとじてひらいてる はくり返し。
⑨ 3連目は2行しかない。(余韻を残そうとしているかも。)
⑩ とぶかしら?というのは疑問形。
①~③は、中原先生の家で書いたときの、私の最初の気付きでした。
(2006.12.29)
番号を打たせた箇条書きの中から、教師が番号を指定して、黒板に書かせていきます。
どれを選ぶかを瞬時に決めなければ、列ができてしまいます。
《指定する観点》
(1) 誰も書かないような特異な意見
例:ちょうちょの羽は2まいだから話も短い。
(2) 授業の流れに関わる意見意見(この後の授業を支える意見)
例:この詩は3連で、1連が6行、2連が5行、3連が2行。
(3) 笑いがとれそうな意見
例:ちょうちょは字が読めないから絵本なんだ。
(4) まだ出ていない意見
地道に大事なのが(2)の授業の流れに関わる意見です。これらの意見が、教師の発問を考えるための足場となるのです。
笑いがとれそうな意見をとりあげるのは、いわゆる息抜きです。パッと笑って、サッと次の意見に移ります。
誰も書かないような特異な意見は、ひもとけば、授業の中心に関わったりします。ただ、ひもとくのに手間取るので、サラッと扱います。
授業終了後に、特異な意見を振り返ることを時にはするのです。
(2006.12.30)