人の気持ちは変えられない

 学力研のメーリングリストで、悩み相談がありました。最初は、問題点だけしか書いてなかったので、「どういう状態を望んでいるのかを箇条書きしてください」とお願いしました。
 それに答えた私の返信を紹介します。
 問題点が分からなくても、学ぶところはあると思います。

>1、気分よくみんなで研究会をするにはどうしたらいいのか?
気分の問題は、どうしようもありません。
世の中には、どうしようもできないことが、いくつかあります。
地震などの自然災害がそうですし、人間の気持ちというのもそうです。
ただ、自分の気持ちは自分でコントロールすることが可能です。
まず、○○さんがどんな状態でも、自分の気分を明るくもって取り組まれることだと思います。
人の気持ちは、どうにもならないので、あきらめた方がいいですよ。

> 2、トスの人に「TTの心がまえ」をいうべきか?
これは、言うべきです。
TTとして、何をしてほしいかを言うべきです。
これは仕事なのですから、できない、というならば、仕事を辞めていただくしかないですね。
でも、担任というのは、忙しいですから、私なら、丸付けしているぐらい、目をつぶるかもしれません。
専科だと思って、一人で授業してもいいかもしれません。

>3 プリントなど同じように子供にさせるにはどうしたらいいのか?
○○さんが授業中に直接配って、その場でさせるしかありませんね。
そのプリントを宿題にする場合でも、授業中、子どもに配り、次の授業の時に集めたらいいのです。

問題には解決できるものとできないものがあります。人間の感情に関わるものは、簡単には解決しません。みなさん、大人ですから、自分のポリシーみたいなものがあり、お互いが素直な気持ちで接することができないからです。
ですから、解決できないことには目をつぶり、仕事面で共通してしなければいけないことを一緒にやっていくしかありません。
職員会議で決まったことをされない先生がいるなら、
「○○先生は、職員会議で決まったことをやらなくていい、というのですね。」
ぐらい言って、詰めたらいいのです。(ただ、人間関係は悪くなるでしょうが。)

波風立てずにやっていくなら、自分ができることを自分のできる範囲でやるしかありません。
何度も書きます。人の気持ちや行動を変えるのは難しいです。自分の気持ちや行動を変えて、一歩でもいい方向に進むしかないですよ。

 世の中には、自分の思い通りにならないことが、いくつもあります。
 それを自覚していると、少し気が楽になります。
 教師というのは、子どもの学力だけでなく、気持ちまで変えようとします。もちろん、それは間違いではないです。子どもはまだ成長途中ですから、子どもの気持ちも変えることは可能です。
 だから大人でもそれができると思ってしまうと、大変なことになります。
 大人の気持ちは、変えることは難しいです。
 変える、という考えは、不遜ともいえます。
 打てる手を打って、あとは、天にまかす、ぐらいの気持ちをこちらが持つしかないのです。
 まあPASONAの法則を使えば、感情ぐらいは揺り動かせるかもしれませんが。

(2004.11.20)