国語の文学を扱う授業の中で、分かったこと・気付いたこと・思ったこと・へんだなと思ったことをノートに書かせ、その中から教師が1つ指定し、板書させ、その板書されたものを全体の場で扱う。そのことにどんな意味があるのかを考えてみます。
(1) まちがった読みとりを正す。
例:太陽が夏みかんみたい。(第1場面のさし絵)
太陽ではなく、車のフロントガラスに置いた夏みかんの絵でした。
(2) 基本的なことの確認。
例:白いぼうしの一場面では、松井さんとしんしがでてるのがわかりました。
この意見から登場人物を確認できます。
(3) 分からない言葉の意味を確認。
例:速達ていうのは、どういういみ。
速達や紳士などの言葉の意味を全体の場で予測を出し合っていけます。
(4) 言葉のイメージを深める・広げる。
例:夏みかんは、もぎたてと分かった。
焼きたて・できたて・搾りたて・作りたて・炊きたて…などの似たことばを出させることで、もぎたての意味を深め、広げさせることができます。
(5) 書かれてあることから、書かれてないことを読み取る。
例:松井さんはおふくろから速達で送ってもらった夏みかんがよっぽど好きで気に いったんだなーと思った。
教科書には、夏みかんが好きとか気に入ったとかは、直接書いてありません。でも、車の中にのせてきたことや、紳士に自慢げに話しているところから、松井さんの心情が読み取れます。
(6) 全体で検討できる問題の提出。
例:のせた夏みかんはどこにあるのかなと思った。
挿絵ではフロントガラスのところに夏みかんが置いてあります。でも「これはレモンのにおいですか。」と紳士が聞いているところからすると、紳士には夏みかんが見えてないことになります。となると、夏みかんはお客の見えない位置、例えば、補助席に置いたあるのかもしれません。
(9) 子どもの読み落としているところ、気付いてないところの発見。
例:「松井さんは、何の運転手ですか。」
タクシーという言葉は、教科書に一切出てきません。
例:「車の窓は開いていますか、開いていませんか。」
これも問われなければ、意識してないことです。
何が見えてないかが、子どもに気付きを書かせることで、こちらが把握できるわけです。(2008.7.13)