納得できない所もあるのですが、なるほどなと思う所もあった本です。
伊吹卓『「やる気」を引き出す101の勘どころ』(大和出版)1996.10.30
やる気がないのは、実はリーダーに対する反抗の表れと考えるべきである。
高学年になるほど、教師への反抗をあらわにする子が出てきます。
教師への反抗がそのままやる気につながるから、学力も落ちていくのでしょう。
「人を生かす」ことは難しそうに見えるが、実は簡単なのである。「人の長所を見る」ということをしておれば自然にできるようになるからである。(中略:荒井)
「欠点が見えたら、その裏に必ず長所があると思え」
「欠点は、長所のありかを示す指標だと思え」
私も人間だから、人の欠点はすぐ気づく。気づくとイライラし、腹も立つ。そういう気持をなぐさめ、抑圧するおまじないとしては、右のことばは大変、効果的である。
要するに「人を生かす」ためには「自分を殺す」ことが必要なのである。
死中生あり、通じるところがあります。
次は、ちょっと長いですが、ここが一番大切だなと思えるので、引用してみます。(この本は、最後の方だけ読む方がいいですね。)
指導者は、人間の好き嫌いの心理について、つぎのような原理をじっくり味わっておいていただきたい。
1、だれでも好きなことなら、やりたがるということ。
2、他人の好きなことは、わかりにくいこと。
3、人が押しつけたことで好きになることは、めったにないこと。
4、部下の長所を見て、上手に部下が好む方へ誘導すること。
5、そのためには指導者は狭い好みの人であってはいけないこと。
むしろ、指導者は、どういう好みの人か部下にはわからないほど、どの個性の人に対しても大らかに接すること。そのようにすると、部下は安心するのである。
リーダーは、このことを誤解しやすい。リーダーになると急にそのことを忘れる。リーダー、経営者が自分の考えを部下に押しつけたがるのも、同じ“本能”によるのである。つまり「自分の考えたことにこだわりやすい」という傾向が、リーダーという資格によって権力となり、押しつけになってしまうのである。
たいていの人はそんなものだと思っている。いや、リーダーは押しつけるものだとさえ思い込んでいる人が多い。その結果は無残なことになる。すべての人が、やる気を失うのである。
やる気を失うと考えなくなる。考えないから退屈になる。退屈になるからエネルギーが他の方へ吹き出す。あらぬ方へ吹き出したエネルギーは、しばしば歪んだものになる。
最後の下りが、学級崩壊をイメージさせます。
(2001.11.17)