どれにもあらず、どれでもあり

 6年の国語の教科書(東書)に、次の熟語が出てきます。

1 「不 無 非 未」などの付く熟語
・不公平 不景気 不衛生
・無関係 無防備 無公害
・非常識 非公開 非課税
・未完成 未成年 未発表
 「不」「無」「非」は、「…ない」と、後に続くことばを否定する意味を、「未」は、「まだ、…ない」という意味を表す。

 この表現では、「未」と「不・無・非」との違いはよくわかります。
 しかし、「不」「無」「非」をどう使い分けたらいいかは、さっぱりわからないのです。
 それでいて、テストでは、次のような問題が出るのです。

 次の□に「不」「無」「未」「非」のいずれかを書き入れて、熟語を完成させなさい。
(1)□必要 (2)□常識 (3)□経験

 正解は、不必要・非常識・未経験となります。
 でも、これらの言葉を聞いたことがなかったら、前述の問題はまちがえても仕方ないような気もするのです。
 別に、未必要(まだ、必要ない)、不常識(常識でない)、無経験(経験がない)でも、構わないじゃないですか。
 『下村式 小学漢字学習辞典』(偕成社)で、それぞれの漢字の成り立ちも調べてみました。

「不」は、鳥が天にむかって飛び立ったまま、おりてこない形。
「無」は、家が火事でもえている形。
「非」は、ひろげた鳥の羽が反対むきになる形。
「未」は、木の上にくだものがなっている形。

 成り立ちはそれなりに面白いのですが、だから、この熟語ではこれを使うんだ、という根拠は薄いのです。
 ということで、ここは、「不」なら、不のつく熟語をたくさん子ども達に紹介するしかないな、と思っています。
 もちろん、テストに出てくる熟語も教えておくつもりです。
 誰か明確な使い方に違いがあるなら、教えてください。

(2001.1.21)