澱取りて

 前回紹介した俳句を五七五で区切らなければ、次のようになります。

おりとりてはらりとおもきすすきかな

 最初はこれを提示して、何度も読ませる方が発見があるかもしれません。
 後ろから読むと「十(とお)もキス好きかな」とも読めます。
「おり鳥」という「手は乱離」と、無理な解釈もできないことはありません。(乱離:乱離骨灰(らりこっぱい)の略:ちりぢりに離れ散ること。めちゃめちゃになること。)
 まあ、模擬授業でそんな解釈をすれば、奇をてらうだけになってしまいます。 ただ、教師が範読するよりも、まず自分で読ませた方が、その本人の気付きが増えると思います。
 向山先生が「まず読ませる」と言っていたのは、そういうことなのでしょう。
 例えば、「おり」も「澱」(液体の底に沈んだ滓。おどみ。)と取れないこともありません。また「檻」でもいいわけです。
 まあ何度も読めば、「折り取りてハラリと重き薄かな」と読めそうです。
 漢字に直させてみるのも面白いかもしれません。
 ただ、このままでは作品の本質までには迫れませんね。

(2003.1.19)