身近な問題から授業を組み立てる

 子どもの日常から離れたことを教えるときは、身近な問題から導入した方がいいようです。
 谷先生の信託の授業ならば、いきなり信託という言葉から入らず、旅行のため、ペットをどうすればいいか困っているという身近な事例から導入されています。
 例えば選挙について教えるにしても、いきなり選挙の話題を出さず、身近な問題から導入した方がいいようです。
「あなたはサッカーが大好きです。将来、Jリーグーで活躍できるように選手になりたいという夢を持っています。でも、家の近くにはサッカーができるような空き地がありません。どうしたらいいですか。」
 公園でのボール遊びは禁止になっています。学校の運動場は、いきいき活動で使われています。遠くの空き地は校区外で行くことができません。
「あなたは、校区内にサッカーやボール遊びのできるような空き地を作ってもらいたいと思ってます。誰にその願いを訴えますか。」
 ここから、国民の願いをかなえるのが、政治家であり、その政治家は国民の選挙で選ばれることを授業していきます。
 自分の願いをかなえるためには、願いをかなえてくれそうな人を選ぶ必要があります。顔を見ても誰が願いをかなえてくれるか分かりませんから、その人のいっていることを聞きます。これが、公約です。
 逆に、政治家になろうとする人は、多くの人の願いをかなえるような公約をかかげないと、選挙で選ばれることがありません。
 そこで、政治家をめざす人は、国民がどんなことを願っているかを探ろうとします。国民の願いを世論といいます。
 公約は、選挙する人が誰を選ぶかを決めるためにあります。
 世論は、政治家になろうとする人がもっとも関心を寄せるものです。
「あなたは、20歳になりました。自分の願いをかなえてくれる人はなかなかいません。それでもあなたは選挙に行きますか。」
 私は、選挙に行って、白票を入れてきたことがあります。候補者の誰も、認めないという意志を示したわけです。
「20歳になったあなたは、自分が政治家になって、自分の願いをかなえようと考えました。」
 でも、被選挙権は、25歳以上にならないと持てません。(知事や参議委員は20歳以上です。)なぜでしょう。
 それは、成人としての経験を経てない人は、国の政治をしていく資格がまだ足りないと考えられているからです。
 身近な問題の例を出しながら、選挙権・被選挙権とその年齢、公約と世論などを教える授業を考えてみました。

(2007.1.27)