表とグラフのテストを返して、まちがい直しや今までの宿題プリントの返却・ファイル綴じなどをさせたあと、わり算の導入をしました。
『今日から新しい勉強をします。ノートの新しいページ、何も使ってないまっさらなページを開きなさい。』
「わり算や、わり算や。」という子どものつぶやきが、どのクラスでも聞こえてきました。子ども達は、わり算の学習を楽しみにしていたわけです。
『日付、6/3 わり算(1)(板書)と書きなさい。書けたら書けたといいましょう。』
「書けた!」
『速い、速い子は頭もいい。』ここらへんは、いつも通り。
「わり算知ってる、1÷1=1やで。」
というつぶやきは、まったく無視します。
授業中、自分の言いたいことを勝手に言い出すがいます。でも、授業の進み方に絡まらない発言は、無視します。ただ無視といっても沈黙ではなく、次の指示を出す、ということです。
向山型算数は、子どもに勝手な発言をさせない授業でもあります。
さて、今回の授業では、画用紙で作った飴の絵を用意しました。(昨年の残り。) 裏には、磁石がつけてあります。
『今から、黒板に飴を貼っていきます。1,2,3と一緒に数えていきましょう。』「1,2,3,…11,12。」(12こ貼ります。)
『飴が12こあります。4人の人に分けます。どんな分け方がありますか。』
ここで、バッと手があがりました。でも、その手はおろさせます。
『ノートに描きます。こんな風に、お皿を4人分かいてもいいです。飴は簡単に○でいいです。また、こんな風に、箱を4人分かいてもいいです。また、こんな風に手をかいて、飴をかいていってもいいです。どんな分け方があるか、ノートにかいてごらんなさい。』(皿や箱や手を板書しながら)
子どもがノート作業をしている間に、水槽の形を4つに区切ったものを板書しました。
できている子一人を指名し、上の箱に、飴を入れさせていきました。
『○○さんの分け方を見ていてください。自分と同じ分け方だったら、手をあげましょう。』
ある子は、いきなり3こずつおいていきました。
『同じやり方で分けた人?』手を挙げさせます。
『他のやり方でやった人?』
1こずつ箱に入れていくやり方の子も出てきました。
『○○さんのように、1個ずつ置いていくやり方をトランプ配りといいます。トランプを配る時って、1枚1枚配るでしょ。』
このほかに、2こずつ配って残り4こを1こずつ配るという方法もありました。『とにかく3つずつに分けた人?』
全員の手があがりました。予定通りです。
『今、手をあげてる人は、10点満点中2点です。』
ちょっと間をとって、
『先生なら、こんな風に分けます。』
ここで、箱の下に名前を板書。
そして、飴を私のところに、9こ。
子どもの名前の所には、『かわいそうだから。』と言いながら、1こずつ入れていきました。
「ずるーい!」の声があがります。
ここで、右のように板書。 A 分けます
『全員起立。』 B同じように分けます
ここは、追い込むところです。
『「分けます」と「同じように分けます」は、同じことですか。AとBが同じだと思う人は、○。いやちがうと思う人は×。ノートに○か×書いたらすわりな さい。』
『同じなら○。ちがうなら×。○か×ですよ、△とか☆とか描いていませんか。』
全員がすわったあと、1人を指名します。
『○○さん、○と×、どっちを書いた?』
「×。」
『×と書いた人?』
どのクラスでも、ほとんどの子が×をつけていました。(1人だけ○。)
『これは、ちがいますね。×ですね。「分けます」だけだったら、先生のように分けていいわけです。』
ところで、今回の実践は、『教育技術の法則化④プロ教師の基礎技術-小学3年』(明治図書)の佐々原正樹「わり算導入(等分除)はこれだ!!」の追試です。多少、原実践と違うところもあります。(例えば、教科書を使うところ。佐々原氏の実践では教科書を使ったという記述がありません。)
『先生の分け方をしたときの、みんなの表情を描いてみましょう。』
今度は名前の下に、簡単な顔を描いていきます。先生は、にこにこ顔。他の子は怒ったプンプン顔。
『みんながやったように、同じずつ分けた時は、どうなるかというと…。』
箱の中の飴を3こずつにしたあと、その上に、顔を描いていきました。
みんなにこにこ顔です。
『こんな風に、みんながにこにこになる分け方をにこにこわり算(板書)といい ます。みんなで言ってみましょう。さんはい!』
「にこにこわり算。」
『わり算というのは、みんながにこにこになるように分けるんですね。』
「先生の分け方は、何わり算っていうの?」
『このプンプンしてるのは、わり算って言わないんだよ。』
この次が、佐々原実践とは、大きく違うところです。
『教科書9ページを開きなさい。イチゴの絵がのっています。』
教科書、わり算の最初のページには、2枚の絵がのっています。
いちごは12こ。子どもは3人。
上の絵では、真ん中の子が5こもらって笑っていますが、両端の子は4こと3こで嫌そうな顔をしています。
下の絵では、それぞれの皿にいちごが4こずつ、みんな笑っています。
『上の絵と下の絵では、どちらがわり算ですか。ノートに上か下か書きなさい。』 全員が、下と書きました。理由も聞きました。
「上は真ん中の子だけ笑ってるけど、下は3人とも笑っているから。」
「上の皿のイチゴはバラバラだけど、下の皿では同じ数ずつだから。」
このあと、教科書の次のページに進んだわけです。
「同じ数ずつ分ける」ということが強調できたと思いますよ。
(1999.6.3)