学力研ニュースの原稿を以下に載せます。
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読み・書き・計算の中で、子どもたちが一番抵抗を感じるのは、何でしょう。
それは、「書き」です。
紙のない時代、粘土状の物や石や壁に、文字を刻んでいきました。「書く」とは「掻く」であり、引っ掻き、刻むことから生まれた言葉なのです。
持つ手に力を込め、掻くように刻む行為であるからこそ「書き」は難しいのです。
それゆえ、書くことに対する抵抗を減らしながら、ステップのある指導が必要になってくるのです。
【「書き」のステップ】
一、指書き 二、なぞり書き 三、直写 四、視写 五、聴写 六、作文
今回は、視写・聴写について書きます。
視写のステップ
学ぶことは真似ることであるから、視写は学ぶことの基本ともいえます。
(1)手本がすぐそばにある
視写する手本が遠いほど、書き写すのは難しく、近いほど易しいのです。
(2)同じ原稿用紙の手本を使う
教科書と、通常の原稿用紙のマス目は合っていません。
原稿用紙だけを渡して、教科書の教材文を視写させると、写し間違いが続出します。
読点を抜かしたり、「 」での「で一マスとっていなかったりです。改行間違いや、会話文の書き間違いも多く出ます。
そこで、原稿用紙に教師が教材文を書き込み、それを手本とさせます。
題名の書き方、名前の書き方、行頭の一字下げ、改行の仕方、会話文の書き方などを教えるには、視写は最適な方法なのです。
(3)原稿用紙を教材文に合わせる
教材文の一行の文字数や行数に合わせた原稿用紙を作る方法もあります。
私の場合、一太郎というワープロソフトを使い、原稿用紙設定で、一行の文字数や行数を指定して、作ります。
右のように、教科書の本文と同じ文字数と行数で原稿用紙を設定すると、視写はやりやすくなります。
それでも、間違う子のために、右のように、「 や句点や行頭の最初の文字をつけておくこともあります。
原稿用紙への視写は、教師がいなくてもできます。私の場合、自習によく視写を使います。
問題に対して答えを書くような自習は、できない子はお手上げ状態になってしまう可能性があるからです。
(4)教師の指示通りノートに視写させる
「今から「から」という詩をノートに、先生の言う通りに書いてもらいます。先生の指示をしっかり聞けるかどうかを確かめます。間違えたら、書き直しです。」
ノートは見開きにさせます。
「ノート一行目、上から三㎝ぐらいあけて、平がなでからと書きます。」
そう言いながら、教師はからと板書。
「二行目を開けて、三行目。一㎝ぐらいあけて、カタカナと平がなでザリガニがと書きます。ザリガニがカタカナで、がが平がなです。」
ここで、一度、机間巡視をします。
すると、指示通り書けてない子が何人もいることに気付けるでしょう。
「書き直しです。」
教師の指示通りできることを要求する視写は、学級開きそうそうにやってみるといいでしょう。
(5)連絡帳を聴写させる
聴写は、視写の発展系です。(4)のやり方で、教師が板書しなければ、そのまま聴写になります。毎日の連絡帳で聴写を取り入れると、いつのまにか聴く力もついていきます。
新しく担任したとき、視写を子どもたちにさせてみると、子どもたち一人一人の学力がだいたい推察できます。
学力の低い子は、一文字一文字を書き写すので、視写に時間がかかります。
一方、雑に早く書き上げる子もいます。こつこつとした努力が苦手なタイプです。
余り手本も見ないで丁寧に正確に視写できる子は、数人いるかいないかでしょう。
視写や聴写を通して、言葉を文節として把握し、学習に対して丁寧に取り組める力をつけていきたいものです。
余談 手書き入力ソフト「マゼック」
iPadやアンドロイドタブレットで使える手書き入力ソフトがあります。
指で書きながら、文字をタイプしていくことができます。スマホのように変換候補が出るので、漢字が分からなくても書けていきます。書く力がとてつもなく弱い子の手助けとなるソフトですよ。
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mazecについては、もう少し書きたかったのですが、誌面も足りなかったので、軽く触れる程度にしました。いつかmazecのことだけで書いてみたいです。
(2015.1.2)