「あめ玉」のレベルを上げ

 光村図書5年国語『銀河』の「ふるさと」の次に載っているのが、新美南吉の「あめ玉」です。
 2人の子どもを連れたお母さんは、渡し舟で怖そうな侍と乗り合わせます。うたた寝をする侍のそばで、子どもたちが1つのあめ玉をめぐって騒ぎ ます。目を覚ました侍は、刀を抜き…。
 落ちは、侍があめ玉を2つに切り、子どもたちに渡すというものです。
 4年で読む「ごんぎつね」と比べると、拍子抜けするようなお話です。
 この「あめ玉」だけで学習すると、5年としては浅くなります。
 せっかく、室生犀星の「ふるさと」に込められた作者の思いに迫ったのに、「あめ玉」でレベルが下がります。どうすれば、学習の質を上げれるのでしょうか。
 そう、「あめ玉」と「ごんぎつね」を対比させればいいのです。
 兵十に近付きたいごんぎつねは、その兵十の鉄砲によって射たれてしまいます。
 一方、美味しく食べられることを願うあめ王は、侍に刀で切ってもらうことで、2人の子どもに美味しく食べてもらえたわけです。
 実は、「ごんぎつね」も「あめ玉」も同じ作品集に収められています。
 新美南吉は、「ごんぎつね」のどうしようもないやるせなさを「あめ玉」で癒そうとしたのかもしれません。

(2015.3.9)