負ければくやしい

 最近、女の子が残って、百人一首をするようになった。
 そして、強い子は私と勝負したがるのである。
 以前、私の圧勝だった。しかし、最近ではよく負けるようになった。本気でやってである。
 この時に読むのは、子どもなので、実にたどたどしくゆっくりした読み方になる。だから、上の句5文字の勝負になってしまうのだ。
「あ・ま・つ・風…」
「はい!」というぐあいだ。
 上の句5文字の勝負では、暗記してるものが強い。
 しかし、子どもで強い子は、もちろん、覚えている。
 すると、勝負の行く末は、運で決まってくるのである。

自分の机の上にある札が多く読まれるほど、有利。

なのである。
 相手の机の上の札ばかり読まれると、もう情けなくなっていく。
 そして、負けるとくやしいのだ。負ける子の気持ちが、ちょっぴりわかる。

(1998.2.5)