昨日(金曜日)のことを詳しく書いてみます。
朝の挨拶をしたあと、○○くん(ボス)が校長室にいてることを子ども達に告げました。
『今、みんなは楽しい時は笑ったり、明るく生活してるけど、○○くんが来た時も、そんな風にできるようにならないといけないんだよ。』
ボスがいないことで、ただ開放されてるだけでは困るのです。
1時間目は図書。最初に教室で、「タグラグビー」のビデオを見せました。2時間目が体育だったからです。
2時間目は、体育。まず、なわとび。次に、タグラグビーをしました。
原田さんが言うように、ビデオを見せてから、練習試合をしてみると、複雑なルールがわりと子ども達に浸透していきました。
ラグビーと違って、相手の身体にさわる(コンタクト)プレーがないところがタグラグビーのよさです。
「安全に楽しくできるスポーツ」とビデオでは言っていました。
今のクラスの学級目標にも、ぴったり合っているのです。
3時間目、百人一首を2試合してから、社会と理科のテレビを見せました。
テレビを見せてる間に、私は校長室に行き、ボスと話をしました。
あとで聞くと、午前中はボスも反抗的で、校長や教頭に食ってかかった場面もあるそうです。
3時間目のその時、「反省してる」「悪いことをした」「周りの子には、こわがられてる」というようなことを教頭の口から聞きました。
私は、もう少し詰めていきました。
どんなことをしたから、こわがられたんですか。
悪い言葉を言ったから、暴力をふるったから、というのが出されました。
私の方からも一つ言いました。
『君は自分の思い通りにならないことがあったら、腹を立てることがある。』
どんな理由があったにしろ、です。
途中からボスもだんまりになり、私は名前を呼んでも返事をしなくなりました。『これ以上、話をしても無駄ですね。また来ます。』
と言って、私は校長室を後にしました。
4時間目、昨日残ってて宿題にしてた算数の問題の答え合わせをしました。
それから、○○くんの話を子ども達としました。
「見えないところでやられるから、こわい。」
子ども達の恐怖心は、根が深いです。
私は、具体的な行動を示して言いました。
・○○くんと一緒にトイレに行かない。(見えない所に行かない。)
・一緒になって、悪さをしない。
・プロレスや格闘は、禁止。
・○○タイム(15分休み)は、全員、運動場に出る。
・どんなささいなことでも、○○くんに言われたりされたら、先生に言う。
『何かあったら、先生はその日に手を打ちます。次の日まで延ばしません。日曜日でも何かあったら、学校に来ます。』
この言葉を信頼して受け止めてもらえるために、今まで、学級通信や楽しい実践をやってきたのです。
『□□くんのことがわかった時、先生は見てた全員の家に回ったでしょ。』
とにかく、私は信じてもらわなければ、次へ進めないのです。
5時間目は、算数。
6時間目は、パソコン室で、インターネットを使って沖縄を調べました。
放課後、再び、校長室にいる○○くんに会いに行きます。
教頭先生が、朝、ボスの家であったことを聞いてくださったおかげで、ボスも落ち着いていました。
問題の根幹に、父親の母親に対する暴力があるのです。
○○くんは、その父親と同じような行為をしているわけです。
自分の環境が不幸ゆえに、周りの子が楽しそうに幸せそうにしていることに、腹が立ってしまうのです。
ボスに私はいっぱい話しました。
みんなが君のことをこわがっている。その気持ちは、なかなか消せない。
もし君が、ちょっとでも暴言を吐いたり、暴力的なことをしたら、みんなは、やっぱり君を怖がり続けるだろう。
一度、失った信頼を取り戻すには、そうとうな努力がいるのだ。
具体的な提案として、私は次のことを言いました。
名前を呼び捨てしない。
ボスと他の子には、対等という関係はありません。
呼び捨ては、命令的でもあるのです。
『君が、君やさんをつけてみんなを呼ぶだけで、○○くん、ちょっとやさしくなったな、という印象を持ってもらえますよ。』
まずは形からです。心は後についてくるのです。
帰り、タバコの隠し場所まで案内してもらいました。
夜、緊急に、親が校長先生と話がしたい、という要望がありました。
それから電話連絡が回ったのでしょう。
それなのに、なんと17人の母親(一人祖母)が来られたのです。
この前の懇談の23人といい、親の意識の高さには驚きます。
ある親が、ボスのお母さんも、なんとか誘って連れて来られました。
みんなボスに対する不満はあるはずなのに、実に好意的にボスの母親と対していました。(この点は尊敬に値します。)
教頭先生から、事との経緯を話してもらい、私の方からは今している学級指導や今後の方向性を話しました。(いつもは短くしか話さない私が、10分以上は続けて話してたように思います。)
親は、いろんな思いを語ってくれました。
・もっと早く手を打ってほしかった。(何しろ持ち上がりの3学期ですから。)
・前担任には、二度ともってもらいたくない。
・子どもは苦しんでいた。
どうも、ここには書ききれません。
親同士がもっとつながらないといけない、というような話から、親子で出かけるようなことをしよう、という話になりました。
日程の方は、私から3連休の2月11日がいいですね、と提案。
代表も決まり、その方向に動くことになったわけです。
(2000.2.5)