一文字の違いを検討する

 伴一孝氏の一文字の違いを検討する授業を追試しました。

A りんごはあって、みかんはない。
B りんごはあっても、みかんはない。

「AとBの文の違いをノートに書きなさい。」
 単純なのでは、
・Bには「も」があって、Aには「も」がない。
・AよりBの方が、文が長い。
というものです。
 少し高度な意見は次のようなものです。
・Aはふつうで、Bは文を強くしている。
・Aはむこうの人が「くだものなにがある」と聞かれた時に使う文、Bはむこうの人がみかんがほしいと言っている時に使う文。
・Aはまんぞくそう、Bはみかんがほしそう。
・Bは、みかんを強調している。

 この後、ABそれぞれの文を2文に分け、その間に入る言葉を考えさせました。

A りんごはある。    みかんはない。
B りんごはある。      みかんはない。

 Aの二文の間には「そして」が入り、Bの二分の間には、「そして」「でも」が入ります。
「ある」+「そして」で、「あって」となり、
「ある」+「そして」+「でも(けれども)」で、「あっても」となるのです。
 さらに、BとBの文をひっくりした文をくらべました。

B りんごはあっても、みかんはない。
B”みかんはなくても、りんごはある。

 Bの文では「みかんがない」ことが強調され、B”の文では「りんごがある」ことが強調されます。
「も」は、後の文を強調する働きがあるのです。
 今回、私は扱わなかったのですが、伴先生はBの文がマイナス思考で、B”の文はプラス思考の文だ、ということを書いていました。
 たった一字だけで、その一字が文の意味を微妙に変えてしまうのです。

(2004.3.12)