理科の公開授業を見てきました。5年は「もののとけ方」、6年は「水溶液の性質」です。
授業を見ながら、自分がめざす理科を改めて意識することができました。
5年の授業では、食塩やミョウバンをいろいろな方法でとかして、その様子を観察するというものでした。ガラス棒でかきまぜる、お茶パックに入れて溶かす、1mのガラス管の上から粒を落としてとかす。などです。
1mのガラス管(直径3~5cmほど)が、班の数分ありました。
上の穴から水の入ったガラス管に粒を落とすと、落ちる間に消えていきました。
たしかに溶けるということが目に見えて観察することができます。
でも普通の学校で、この1mのガラス管が準備できるでしょうか。
6年の授業では、水溶液の性質を見分けるための指示薬を探そうというものです。ムラサキキャベツ・ブルーベリー・ベゴニア・ラディッシュ・ミカン・ヨウシヤマゴボウ・パンジー・黒豆・カーネーション・リンゴ・アサガオ・イチゴ・ニンジン・ハーブティー・ナス・ホウレンソウなどの汁が用意されていました。 それを酢・塩酸・食塩水・石灰水・水酸化ナトリウム水溶液の入った試験管に入れて色の変化を見るのです。
これだけの汁をあらかじめ集めるなんて、普通の授業でできるわけがありません。さらに、色の変化が時間とともに変わるので、指示薬を入れた後の写真をデジカメでとり、プリンターで即座に写真印刷していました。
理科室の壁には、模造紙が貼られ、それぞれの水溶液が何色になったかを近い色の色紙が貼れるようにしています。
この1時間の授業のために、何日も渡って、多くの人が準備したに違いありません。(だからそこが問題なのです。)普通の担任もしくは、理科担当の教師が、追試してみようと思えない授業を公開することの無意味さに、なんだか悲しくなってしまいます。
もちろん、学ぶべきことも多くありました。
ベゴニアやミカンなどの即席指示薬が、指示薬としてふさわしいかふさわしくないか、考えさせる展開が、まさにセレクト発問です。
色が変わればいいというものではありません。酢と塩酸はどちらも酸性なのに、全く違う色に変わってしまっては、何色を基準として酸性と判断していいか分かりません。指示薬としてふさわしいかふさわしくないかを考えることを通して、水溶液の性質に対する理解は深めていけそうです。
私なら、数点の汁だけ用意して、その色の変化が指示薬としてふさわしいかどうかを1つの汁ずつ検討していきます。
私が目指す理科実践は、担任の先生でも何とか追試できるかな、というような理科実践なのです。
(2007.2.8)