始皇帝と天皇

 日本の天皇は、なぜ「日本国王」ではなく「天皇」だったのでしょうか。
 イギリスだってフランスだって、たいてい「国王」といいます。
 なぜ、日本だけが「天皇」なのか。今までは、そのことに疑問さえ抱きませんでした。実は、中国が関係してくるのです。
 このことは、『井沢元彦の英雄の世界史』(2004.12.15廣済堂出版)の中の「始皇帝」に書かれていました。始皇帝とは、中国全土を初めて統一した、秦国の王・趙正のことなのです。

 いざ全土の支配者となってみると、「王」という称号では物足りない。史上初めての偉業には史上初めての称号がふさわしいと、彼が考えて作ったのが「皇帝」である。(中略:荒井)
 つまり皇帝とは「中国全土の支配者」を意味する。(中略:荒井)そして始皇帝以後、王という称号も「中国皇帝の臣下である周辺諸国の支配者」という意味に変わった。(中略:荒井)国王というのは高麗や琉球のように、中国に貢物を捧げ臣下となることを誓った国の首長の称号として使うべきなのだ。日本も昔は、金印で有名な奴国の王や邪馬台国の女王卑弥呼が中国に臣従を誓っていた。しかし、次第に独立国家としての誇りを持つようになり、「中国皇帝」に対抗して「天皇」という称号を名乗るようになった。(P.25)

(2007.2.20)