次年度も見据えた3月の実践

 学力研ニュースの原稿です。昨年は「次年度を見据えた実践」を書きました。
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 新年度・四月。
 子どもにとっても、教師にとっても、リセットし、ちょっと新しい自分でがんばれるそんな時です。
 そんながんばりを支えるような取り組みを残り数日の三月に実践してみましょう。

一、漢字の先習い
 四年生の新出漢字の学習も終えたこの時期、いきなり一文交代読みをさせてます。
 国語や社会の教科書で、教師が範読をせずに、いきなり子どもを指名し、交代で一文ずつ読ませていくのです。
「他の人は教えないで下さい。読めないときは、先生が教えます。」
 既習漢字を読めるかどうか、確かめるために、音読させてるのです。
 さて、子どもたちは四月になると、五年生の教科書で学習します。
 四年生と五年生の学習で大きく違うことは、国語の時間数が二時間減ることです。
 四年生で週七時間あった国語が、週五時間となります。(図書・書写を含む。)
 先生によれば、新出漢字の学習は、全て宿題にされる場合があります。しかも、教材は長文です。
 読字力の低い子は、高学年の学習で、一気についていけなくなります。
 そこで、五年生の四月に学習する漢字や国語や社会に出てくる難しい漢字をフラッシュカードにして、子どもたちに読ませておくのです。
 私の勤務している学校は、国語が東京書籍、社会が日本文教出版なので、以下の漢字をフラッシュカードにします。

【国語で作るフラッシュカード】
散歩・運ぶ・鼻・周り・増える・飛行機・勉強・助ける・無理・言葉・悪い・仲良く・病気・転ぶ・落ちる・今度・番・
朗読・速さ・強調・増加・増額・増水・増減
【社会で作るフラッシュカード】
陸地・各地・地域・気候・産業・地球儀・囲む・特に・東側・大陸・南極・部分・太平洋・面積・方位・国旗・経線・
緯線・新年度・四月・新学級。

 国語や教科書を読むときに、詰まらずにスラスラ読めれば、きっと先生もほめられることでしょう。

二、資料を使った授業
 高学年の社会科授業は、表やグラフなどの資料を使ったものが多いです。資料を読みとることができない子は、テストでも点数が取れません。
 そこで、四年生の社会でも、特に三月は資料に重点を置いて授業していきます。
 例えば、次ページの表は、『わたしたちの大阪3・4年下』(日文)の「大和川のつけかえ」の学習に出てくるものです。
 この表も、いきなり一文交代読みをさせます。読字力の低い子は、資料の文字が読めなくて、学習についていけない場合が多いのです。
 次に、テストに出てくるような問題を一問一答で出していきます。

①一五三九年の大雨で、いくつの村が流されましたか。
②ていぼうが切れ、約2万4000石分の田がつぶれたのは、何年ですか。
③三年連続で、ていぼうが切れたのは、何年から何年のことですか。

 さらに、右の表と、教科書の記述をつなげるようにします。なるべく、人とつなげることが大切です。
 ここでは、甚兵衛(一六三九~一七三〇)を扱います。
 甚兵衛が産まれた年を年表の中に書き込ませます。表では、一六二〇年と一六七四年の間になります。
 大和川のつけかえを甚兵衛が幕府に願い出たのは、一六五七年です。これも表に書き込ませ、甚兵衛のこの時の年齢十八才も書き込ませます。幕府が工事をゆるしたのが、一七〇三年、甚兵衛六十四才のときです。この間に、甚兵衛は、大和川の堤防が切れる体験を五回もしてることが表から読み取れるのです。
 年表と人をつなげることで、人びとの苦しみや願いなどに気づけるのです。(つづく)

(2014.2.22)

 学力研ニュースの原稿の続きです。
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三、スキーマを打ち破れ
 人は多かれ少なかれ、スキーマを持っています。スキーマとは、ある種の決めつけです。
 精神科医の和田秀樹が、いくつかの著書の中で、スキーマについて書かれています。

「人間は、スキーマが強いと、自分の思い通りの情報しか受け入れようとしなくなり、別の情報は切り捨ててしまう。」
『大人のためのハイスピード勉強法』より

 教師もある程度、経験を積んでくると、自分のやり方以外をやれなくなってしまいます。自分がやったことがないタイプの実践は、自分のフィルターを通って、入ってこないのです。
 このスキーマを打ち破らないと、いずれ、時代対応できない教師になってしまいます。
 自分のスキーマを打ち破る実践をぜひ、この三月にちょこっとやってみませんか。
 私の場合、授業づくりにシフトして学んできたので、学級づくりには苦手意識があります。
 そこで、この三月には、菊池省三氏の『話し合い指導術』や『菊池先生の「ことばのシャワー」の奇跡』などの本を参考に、今までやったことのない学級づくりにチャレンジしてみようと思っています。
 精神科医エリックバーンの言葉です。

他人と過去は変えられない。自分と未来は変えられる。

(2014.2.23)