「木竜うるし」について、いろいろと考えてみます。
1)登場人物は誰か。(権八・藤六)
2)中心人物は誰か。(権八)
3)主人公は誰か。(藤六)
4)主題は何か。(悪いことをしていると、気のせいでいろんなふうに見える。)
河田孝文氏が、中心人物は「最初と最後で変化する登場人物」、主人公は「読者を感動させる登場人物」と言われていました。ここのところの定義は、何をよりどころにしたらいいかは、検討すべきでしょうね。
主題は、権八が自分の作った木竜を本当の竜とかんちがいする場面から取りました。
権八 なあるほど、水がゆれるとゆらゆらっと見えるわ。ああ安心した。……さっきはほんまに生きとると思うたが……やっぱり悪いことをしとると、気のせいでいろんなふうに見えるもんだ。
とてもずる賢い権八にも、実は良心があり、その良心を呼び起こしたのが、藤六のばか正直さや気立てのよさだということになります。
悪人と思われる人も、善人の中にいると、良心が呼び起こされ、善人となることができるということを言いたいのでしょう。
(2014.3.13)