着任式、9人もいたので、代表だけが挨拶。ちょっぴり残念。
「先生たちは初めて来たので、不安でいっぱいです。音楽室はどこかな?家庭科 室はどこかな?…」
という語りかけを代表の人がされた。
「音楽室はどこかな?」という問いの形なのが、いい。
子どもは、この問いで考えるだろう。
「音楽室は……、4階の……」と。子どもの脳ミソを働かせてる。
「今度、音楽室、教えてあげよう」と思う子もいるだろう。困っている人がいるからこそ、親切心もわくというものだ。
さて始業式のあと、担任紹介。
そのあと、2年生だけ移動して、クラス発表をした。
まず1組の先生が、出席順に子どもの名前を呼んでいく。そして、呼ばれた子は、その先生の後ろに2列で並んでいくのである。
「呼ばれたら、大きな声で返事をしなさい」と、他のクラスの先生が言ってた。 しかし、「ハイ」の返事は余り聞き取れなかった。
というのも、名前が呼ばれるたびに、周りの子ども達が「オー」とか歓声をあげるからである。友だちがどこのクラスに行くのか、関心があって当然。声も出て当然である。
私は名簿の上に、「ハイと大きな返事をした子をチェックする」と書いておいた。あとで、その子をみんなの前でほめようと思ったからである。
まあ、物事、思惑通り行かないものだ。私の読みも甘いということである。
このあと、私は背の順を運動場で決めてしまおうと、思っていた。
「時間もないし、明日の離任式もこの並び方で行きましょう」
という学年の先生の声があり、確かに時間もなかったので、教室へ向かった。
下校は、10時半である。あと50分弱0ほど。
教室前の廊下で止め、出席順に下駄箱に外靴をいれるように言った。
そして、それがちゃんと出来た。
席は、出席順にすわらせていった。
「おはようございます」と、朝の挨拶をした。私は立って、子どもは座ったまま。「2年生の人、手をあげて」と私。誰もあげなかった。賢い!
「3年生の人、手をあげて」と再び。今度はあがる。しかし、全員じゃない。一人だけ手をあげてない子がいた。要チェックだ。
「君たちは、3年生だね。」と、私。
「2年生、起立。」立たない。
「3年生、起立。」全員、立った。
「もう一度、しっかり朝の挨拶をしましょう。」で、挨拶をした。
自己紹介は、学級通信をそのまま読んだ。
途中、私に対する質問を聞いた。手をあげたのは、1人。大人しい子ども達なのかもしれない。
「荒井先生は、半年って、どのぐらいいるんですか?」
「~ですか?」はついてなかったので、つけて言わせた。指導だ。
「9月30日までか、10月の途中までいます。」と、私。
「やったー!」の声や、喜ぶ動きが見えた。私の印象は、いいようだ。
学級通信の残り半分を読んだ。
「宿題はほぼ毎日出します」のところを読んでも、否定の反応はあまりなかった。思っていても出せないだけかもしれない。
回覧ノートや読書のことも読んだ。回覧ノートは1番の子に渡した。
私が読んでる時、学級通信を見ていない子が、何人かいた。さきほど、「3年生手をあげて」で手をあげなかった子も、そうだ。
「習ってない漢字もあるけど、先生が読むのに合わせて読んでいたら、難しい漢 字も読めるようになるよ。」
と、アドバイス。これは、何度も言おう。指でなぞらせるのも、しよう。
名札・手紙8枚(多い)配った。問題なく、スイスイ配れた。びっくり。
学年だよりの大切なところは、読んだ。道具箱の中味、とか。
手紙を配ったりしてる時に、列の先頭のある女の子が、私に質問してきた。
「先生って、優しいですか」と。
「その質問は、今度ね。」と私。全員の原則だ。
ところで、帰り際にも、ある男の子が「優しい先生でよかった」と、つぶやいていた。子ども達にとって、「先生が優しいか優しくないかが一大事なんだな」と、改めて思った。(だからといって、優しさだけでいいわけない。)
そうそう、名札を配った時は、「前、1組やった人、手をあげて」「前、○組やった人?」というように聞き、「今は、何組ですか?」と問い、「3年2組って、書くんだよ」と念を押しておいた。
名札もノートも、できるだけ漢字で書くように言った。
教科書、「3年生で初めて習う理科です。」と言って、理科・社会・…と配った。国語は最後である。
「では、国語の4ページ開いて」
「えっ、勉強するの?」
「学校は勉強しに来てるのです。だから、勉強します。」
最初の教材である。詩を一行ごと、連れ読み。その次、連ごと連れ読み。
そして、一斉読み。
「うまい!すごくうまい。うますぎるわ。」と私。本音である。
連れ読みでの読みより、一斉読みでの方が、抑揚もあり、リズムもあり、とてもうまいのである。昨年度の研究が国語で、音読を中心にやっていたらしい。一年間の研究の成果は、たいしたものだ。
こういう成果が次の年にも残る、研究をしたいものである。
授業は、これで終わり。あと、10分ちょっと。
連絡帳を書いた。
「自分の最高の字で書いてください。」
私が板書し終わったあと、一人ひとり写真をとっていった。
「早くみんなの顔と名前を覚えたいので、写真をとります。」
この写真は、スピード写真で、すぐに現像した。
アップでとった。子ども達の表情がすごくいいので、嬉しい。
連絡帳は、私がサインするヒマがなかった。机間巡視で、「うまい」と言いながら、回った。2人、書き直し部分を指摘した。全体的に丁寧であった。
1,2年生の先生がしっかり、教えてくれたんだなぁ、と思う。
昨年度の受け持った2年生には、丁寧な力をつけれなかった。3年で受け持つ先生にわるいことをした。(でも、一番わるいことをしたのは、子ども達に対してである。)
帰り、「先生とジャンケンをして、勝った人から帰れます。」
私はグーだけ出した。
「グーしか出せへんで」という男の子がすぐ現れた。
子どもが勝つ時はパーだから、サッと握手して、さよならをした。(ふう~)
(1998.4.8)