3年算数、最初の授業のテープ起こしである。教師の言葉は『』内。
『はい、おはようございます。』
「おはようございます。」
『かけ算九九、覚えていますか?』
「覚えてる、だいたい。」
「簡単に、覚えてる。」
『覚えてるのから、言ってみよう。1の段行きます。行くよ。さん、はい!』
「インイチが1、インニが2、……、インクが9!」
『おっ、さすが、3年生。では、2の段。』
「はい。」「はい。」
「はやく、はやく。」
『さん、はい!』
「ニイチが2、……、ニク18!」
『すごい!……ぶつぶつ…』
教室に入りながら、教師から挨拶。子ども達は腰掛けたままである。
フラッシュカードによるかけ算九九の復習。やってる内に、全員が揃った。
『覚えてるのから、言ってみよう。』は、いらない言葉。削れる。
『すごい!』のあとの(ぶつぶつ)は聞き取れず。テープで聞き返してもわからないようなつぶやきは、すべきではない。
挨拶からここまでで、48秒!(文章にすると長い。)
『では、3の段いきます。…(ぶつぶつ)…サン、ハイ!』
「サンイチが3、……」(子ども早口で、バラバラに。)
『あっ、ダメ、ダメ。揃ってない、揃わな。揃ってないのはダメ!もう一回、サン、ハイ!』
「サンイチが3、……」
『あっ、ダメ。他の人の言うのを聞きながら、言わないとダメ。サンイチが3やね。サン、ハイ!』
「サンイチが3、……、サンクが9。」
『おーっ、すごい!今度は、立って言ってみよう!』
「揃わな。」とか「3やね。」という言葉は、ていねいではない。
「そろえます。」「3ですね。」と言うべきだろう。
4の段で、立たせたのは、変化をもたせるためでもある。
『ちょっとね、ここ狭いから、少し下がってあげて。』
(前の机と後ろの机の間が、狭まってるところがあったからである。)
『はい、4の段です。サン、ハイ!』
「シイチが4、……シク36!」
『すご~い!では、ちょっと列で聞くからな。』
「すごい」ばっかり、ほめ方が単調。「聞くからな。」の「からな」は、ご機嫌とり言葉と言ってもいい。「では、列で聞きます。」と言い切るべきだ。
『ここ2列、5の段いきます。サン、ハイ!』
「ゴイチが5、……、ゴック45!」
『よく言えた。よし、ここ合格、すわって。』
『ここは、6の段。サン、ハイ!』
「ロクイチが6、……、ロック54。」
『ちょっと、あやしい人おるね。はい、すわって。』
『かけ算の中で、七の段が一番覚えにくくて難しいと言われています。さあ、言えますかね。サン、ハイ!』
「シチイチが7、……、シチク63。」
『はい、すばらしい。よく、できました。すわりましょう。あと2つね、みんなでいきましょう。サン、ハイ!』
「ハチイチが8、……ハック72。」
『はい。声も大きくて、すごくいい。では、最後。』
『かけ算がなぜ九九っていうかというと、昔、九の段から始まったんですね。九九81から始まったから、九九って言うんだよ。サン、ハイ!』
「クイチが9、……、クク81!」
『すばらしい。かけ算、自分はもうバッチリだ、という人?』
(3分の2弱ほど、手があがる。)
『はい、おろして。ちょっと、覚えてないのあるかな、っていう人?』
『いいですよ。これから、もういっぺん、思い出そうね。よく手をあげたね。いや~、全然あかんわ、という人?』(1人、手あがる。)
「よし、正直でよろしい。しっかり練習しような。」(授業開始より5分10秒)
本来なら、1つのクラスを2つに分けて、別の教室でそれぞれ教える。
しかし、今日は最初の授業なので、これからのことを説明したりする時間として、一斉授業とした。
このあと、もう一人の先生に自己紹介してもらい、その次、私が自己紹介したのである。
(1999.4.12)