やりにくい先生

 着任式での子どもへの挨拶は、「桃太郎」を使いました。

 荒井先生は、この袋の中に、ある物を入れてきました。
「桃太郎」と言います。
(袋から出して)これを洗濯機に入れて、あらいますと、洗剤を使わずに洗えるのです。
 洗剤を使わないので、川の水も汚さなくてすむのです。
 これから、皆さんと楽しく遊んだり、いっぱい勉強していきたいと思います。よろしくお願いします。

 私の洒落が通じたかどうか知りませんが、子ども達へのインパクトは強かったようです。
 挨拶が終わったとたん、子ども達から拍手が出たのでした。
 この「桃太郎」は、他の先生への受けもよく、「ほんとに洗剤いらんの?」と何人からか質問されたぐらいです。

 担任発表のあと、その場の講堂で、クラス分けを発表しました。
 クラス分けが終わったあと、また、その場で背の順を決めました。
「オレ、後ろで、決まり!」
と、背の低めの男の子が声をあげてました。
(要注意人物だ、と言われてた子です。)
 結局は、適当な場所に、並びました。
『発育測定が終わったあと、もう一度、背の順を決めます。』
 数字で納得させないといけないような雰囲気のクラスだったのです。
 教室へ戻り、背の高い順に下駄箱に外靴を入れさせました。
 教室の座席は、とりあえず、出席順です。
「オレ、こんな前かよ。」(さっきの子です。)
 早速、机を離す子もいました。
(つけさしました。二度ほど指摘した女の子あり。)
 すわらせていってると、1人足りません。障害児学級に通ってる子です。
『どこ行ったんだろう。』
と、私がつぶやいてると、さきほどの男の子が、
「あいつ、アホやから。」とか「人間じゃないねん。」とか言っていたのです。
とりあえず、(障害児をのぞく)全員をすわらせてから、
『○○くん、話があるから立ちなさい。』
『さっき、あなたは、□□くんのことを人間じゃない、と言いましたね。』
『そんなことを言っていい、と思う人、手をあげなさい。』(0名)
『ダメだと思う人?』
 一応、立たせた子以外の全員があげました。あげてるかあげてないんだかわかんない子には、「はっきりあげなさい」と要求しました。
『○○くんは、どう思っているんですか。』
「悪いと思ってます。謝ります。」
『謝らなくていいです。今度から気をつけられるなら、すわりなさい。』
 第一ラウンドは、私の勝ちでした。
 この後、第二、三とラウンドがあったのですが、それも私が勝てたようです。 例えば、連絡帳で、「4/10(月)手 八枚」の部分だけ、
『丁寧に書いて持ってきなさい。丁寧じゃないのは書き直しです。』
と、要求しました。
 この時、「八枚」の「八」を「8」にしてるのは、書き直させました。
 「手」を漢字で書いてないのも、書き直しです。
「なんでぇ!」と、ぼやいてましたが、無視です。
 全員、○つけした後、
『正しく、その通りに写せるかどうかも、大切なことです。』
 その他、ブタンガスの実験では、子どもの度肝を抜きました。
「あの先生、やりにくい!」と、やんちゃな男の子たちは語ってたそうです。 

(2000.4.10)