出口汪『「論理エンジン」が学力を劇的に伸ばす』(PHP)の中に、懇談会に使えそうな話が載っていました。
OSを強化することを怠ると努力しても落ちこぼれるようになる。
小学校四、五年くらいまでの子どもの言語能力の発達度合いは、個人差が著しく大きい。もちろん、早生まれ、遅生まれということもある。
たまたまOSらしきものを早く具えた子どもは、それほど勉強しなくてもなんでもわかってしまう。小学生のころは、すべて日本語で説明されるからだ。
理解できるから、記憶することもできる。
小学生のころはまだソフトが軽いので、さほど努力しなくても学校では好成績をとることができる。
こうした子どもは中学受験をすると、成功する可能性が高い。また、早いうちから勉強に興味と自信をもたせることも有効である。
ただし、勘違いしないでほしい。親も教師も本人も頭がよいと思い込みがちだが、決してそうではない。だれでも言葉はしゃべれるようになる。それが人よりも早いか遅いかだけなのだ。頭の善し悪しとは関係がない。
子どものころに勉強ができるのは、親の努力と環境による。それと、言語の習得能力である。言葉を早く使いこなせるようになると、それだけ早く頭のなかにOSができあがるのだから、小学生くらいのレベルのソフトなら難なく動かすことができる。
ところが、学年が進むにつれて、ソフトがしだいに重たくなっていく。中学受験のときからつめこみ学習に慣れ、OSを強化することを怠っていると、やがてソフトがスムーズに動かなくなっていく。
以前は努力をすればそれなりの成果が上がったのに、勉強しても勉強しても成績が上がらなくなる。努力しても落ちこぼれていくので、本人の悩みは深い。
私もこのパターンです。高校2年あたりから落ちこぼれてきました。
子どものときに勉強ができないのは、頭が悪いからではない。
逆に、言葉を覚えるのが遅い子どもがいる。日本語をうまく使えないのだから、先生の話が理解できない。ただし、この場合も決して子どもに能力がないのではなく、たまたま言語の習得時期が遅いだけであって、それは本人の個性なのである。
だが、こうした子どもは日本の学校のなかでは非常に苦労する。親があわてて塾に行かせたところで、先生の説明が理解できないのだから、勉強がおもしろいはずもない。当然、成績も芳しくない。
親や先生からバカだといわれ、本人もそう思い込んでしまうが、この場合はじっくりと言葉の処理能力を高めていけばよいのである。
言語処理能力(OS)を高めていくことが大事なわけです。
知識の注入に焦らず、学び方・やり方に重点をおいていくわけです。
(2008.4.27)