啐啄の機

 2009年度5年1組の学級通信名を「啐啄の機」にします。
「今回先生が出す学級通信の名前は「啐啄の機」といいます。
 どんな意味か分からないでしょ。今から、みなさんだけに教えますから、家の人に聞かれたら、きちんと教えてあげてください。
 鳥が卵を産みました。
 どうしますか。(温めます。)
 そうですよね。早く産まれてほしいからといって、産まれてすぐの卵の殻をつついて割ってしまうと、卵の中の雛は死んでしまいます。
 親鳥があたため、あたためて、卵の中のひなが大きくなりました。
 もう卵の外に出たくて殻をつついて割ろうとするのだけど、卵の殻が固くって割れません。どうすればいいですか。
(あきらめずにつつけばいい。)
 そう、雛鳥は、何度も何度も卵の内側から、卵の殻をつつきました。
 すると、その音に気付いた親鳥は、雛鳥が中からつついているところをつついて、卵の割るのを手伝ってあげるのです。
 これを「啐啄の機」といいます。
 啐啄とは、卵をつつくことを表しています。
 この言葉は、いったい、何が言いたいのでしょう。
 これは、教える人と学ぶ人の関係を表しているのです。
 学ぶ人、みなさんが、賢くなりたい、うまくなりたい、できるようになりたいと思ってがんばるからこそ、教える先生は、そのがんばりにそっと手助けして、賢くなるよう、うまくなるよう、できるようになるよう助けられるのです。
 先生だけ、がんばって教えていてもだめなのです。
 みなさんも先生もともにがんばらないと、いい学級はできないのです。」
というようなことを話そうと思っています。
 ちょうど家に、バランスイーグルがあります。
 羽根を広げた鷹で、嘴に指を当てると、バランスをとって、指に乗るのです。やじろべえの原理で作られたおもちゃです。
 バランスイーグルを見せ、卵の絵を描き、上記のお話をし、最後に、指先に載せて見せると、「おぉー!」となるのではないか、と思っています。
 実は、学級通信名を「チェンジ」にしようかと思っていたのです。昨年度の自分のやり方をチェンジさせて望みたいという思いを込めました。でも、6年生が学年通信で「チェンジ」と使うという話を聞いてしまったので、譲りました。
 譲ったことで、学級通信名とそこに込める思いみたいなものをより深く考えることができました。バランスイーグルを使うことも、考えて考えたからこそ、思い出すことができたのです。

(2009.4.6)