問いに対応した文末

「千とこわれた楽器」の次の箇所を扱いました。

 月が行ってしまうと、チェロは、しょんぼりして言いました。
「わたしは、うそを言ってしまった。こわれているのに、こわれていないなんて。」
 すると、すぐ横のハープが、半分しかないげんをふるわせて言いました。
「自分がこわれた楽器だなんて、だれが思いたいものですか。わたしだって、夢の中では、いつもすてきなえんそうをしているわ。」
「ああ、もう一度えんそうがしたいなあ。」
 ホルンが、すみの方から言いました。
「えんそうがしたい。」
 トランペットも横から言いました。
「でも、できないなあ。こんなにこわれてしまっていて、できるはずがないよ。」
 やぶれたたいこが言いました。
「いや、できるかもしれない。(以下省略:荒井)」

 黒板に日付を書いた後、次の板書をしました。

「(   )「でも、できないなあ。」

 この言葉は、誰が言ったかを問うたのです。
 答えは、たいことトランペットに分かれました。
 これは、前の会話文から、順番に当てはめていかないと分かりません。
 正解は、たいこです。でも、たいこならば、会話文のあとの一字開けはいらないと、私は考えてます。会話文の前の文が一字開けなのは、納得できるのですが。

 どのようなことができないのですか。 

 国語テストに出てくる問題、そのものを書きました。

1)えんそうができない。(A)
2)いろいろな音を一つの楽器で出せない。
3)えんそうすること。(B)
4)こわれてるから少ししか音が出せない。

 Aさんを司会にして、発表させていきました。Aさんは賢い子です。
 自分がどれに近いか手をあげさせると、ほとんど全員がAさんのを選びました。
 でも、正解はBさんです。「どのようなこと」と聞かれているので、文末が「~こと」で終わらないといけないのです。

 なぜ、できないのですか。

 文末が「~から」で終わることを確認してから、ノートを一人ずつ持ってこさせました。正解は、「こわれているから」です。
 さきほどの問題でまちがえだった植村くんの意見の中に、答えが隠れているのです。「さっきの植村くんの意見に答えがかくれているよ。」とヒントを出しました。まちがえた子も別のところで持ち上げることができたわけです。 

(2013.4.30)