カレーライス

 光村図書『国語六 創造』の物語「カレーライス」を検討します。
 はっきりいって、「創造」とは関連しない作品です。

 ぼくは悪くない。
 だから、絶対に「ごめんなさい。」は言わない。言うもんか、お父さんなんかに。

 物語の冒頭で、主人公ひろしの願いが書かれています。
 謝ることを母親からは言われているけれど、自分からは謝りたくないわけです。
 でも、これは、ひろしの真の願いではありません。
 ただ、ひろし自身も自分の真の願いが分かってません。

ぼくはすねてるんじゃない。お父さんと口をききたくないのは、そんな子どもっぽいことじゃんくて、もっと、こう、なんていうか、もっと─。

 この物語を読み進めていく内に、ひろしは、自分がお父さんが思っているほどの子どもではないことを気付いてほしいんだ、ということが読み取れます。
 なぜ、題名が「カレーライス」なのかというと、お父さんがひろしに対して夕食のカレーライスを作るとき、甘口を作るからです。でも、ひろしは、もう中辛がいい、要するに、もう子どもではない、ということをカレーライスの辛さで表現しているのです。辛口でなく中辛なのは、まだ半分子どもということです。
 ひろしは、子ども扱いしてほしくないと思いながら、実際には、だんまりを決め込むような子どもっぽい態度しか取れてません。
 それが、お父さんが風邪で会社を早退し、次のように言ったことがきっかけで、ひろしの行動が大きく変わったのです。(ここが、クライマックスでしょう。)

「晩ご飯、今夜は弁当だな。」
お父さんがそう言ったとき、思わず、ぼくは答えていた。
「何か作るよ。ぼく、作れるから。」

 行動を起こすことで、ひろしは成長したのです。
 中辛のカレーライスをお父さんと一緒に作ることで、お父さんとも仲直りでき、自分がもう子どもではないことに気付いてもらえたわけです。
「カレーライス」は古くからある教材なので、TOSSランドにも、いくつか実践が載っています。
 石坂陽氏は、子どもの意見文を書かせてます。多分、持ち上がりの6年だからできているのでしょう。私としては、前川善治氏の設定を確認し、起承転結に分けさせ、ピナクル前後で対比させ、主題を検討させている授業展開がいいなぁ、と思ってます。
 前川氏は主題を「人間はいつの間にか成長しているものだ。」にしています。
 私は「人間は行動することで成長できる。」だと考えています。
 ひろしの子ども扱いされたくないという願いは、カレー作りを提案した行動によって、かなえられることができたからです。

(2015.4.7)