どきんでオノマトペ

「伴一孝のどこでも教師修業」4月号に、伴先生の国語模擬授業の様子が録音されていました。
 右の詩を扱った伴先生の授業をテープ起こししてみました。

伴 これは10行でできてる詩ですが、一番下は全部同じような似たような言葉で終わっています。一つめ読んで。
子役 つるつる。
伴 二つめ。
子役 ゆらゆら。
伴 全部、同じになってます。このような言葉をオノマトペといいます。音や様子を表す言葉です。言ってごらん、オノマトペ。
全員 オノマトペ。
伴 覚えて帰るんですよ。お話をしている人を話者といいます。話者はどんなところにいますか、先生。
子役 ?
伴 分かりませんよね。ではね、先生、建物の中にいますか、外にいますか。
子役 外です。
伴 外にいますか?外にいると思う人?建物のですよ。中にいると思う人?
  これは、中にいます。証拠となるオノマトペがあります。探してごらんなさい。
  見つけた人?はい、先生、言ってください。
子役 みしみし、です。
伴 見つけた人?みしみしは建物の中を歩いている音ですね。そういうオノマトペです。では、話者、お話をしている人はね、履き物を履いていますか?履き物を履いているか、履いていないか。履いていると思う人?履いていないと思う人?正解ですね。証拠となるオノマトペを言える人?
  はい、手を挙げた人、みんなで言ってみようね。はい。
子役 ひたひた。
伴 ひたひた、ですね。見つけてた人?そうですよ。それは裸足で歩いていることを表すオノマトペなんですね。もう一回、言ってみよう。オノマトペ。
全員 オノマトペ。
伴 大丈夫ですか。では、どんな物が倒れちゃったんですか。どんな物が倒れちゃったんですか。これ、オノマトペから分かるんですね。はい、どんな物?
子役 空き缶です。
伴 どんな物、と聞いたんですよ、先生ね。どんな物、と答えないといけないですね。言える人?はい、大きい声で。
子役 かたい物です。
伴 かたい物、それを表すオノマトペは、先生、何ですか。
子役 がらがらです。
伴 がらがら、それを見つけてた人?はい、がらがら。正しいかどうかは別ですよ。
  がらがらも、オノマトペです。それだけじゃない、他にもある。どんな物が倒れちゃったんですか。はい。
子役 つるつるした物。
伴 つるつるした物ですね。見つけてた人?はい、まだある。はい、遠いですけど、おっきな声で。
子役 不安定な物。
伴 不安定な物。それを表すオノマトペ。2つある。
子役 ゆらゆら、ぐらぐら。
伴 ゆらゆらと、ぐらぐらですね。見つけてた人?はい、えらいですよ。具体的に詳しく言うと、難しい言葉ですけども、つるつるというのは抵抗がない無抵抗ということですね。ぐらぐら、ゆらゆらは、不安定。では、がらがらは、何でしょう?漢字二文字。
子役 空洞。
伴 空洞じゃない。漢字二文字、これは難しい。
子役 崩壊。
伴 惜しい。崩壊でもいいけど、分解ですね。倒れると分解するものです。それを表すオノマトペ。河田先生の授業にあったように、はっきりは分かりません。ですが、無鉄砲で不安定で分解する物であることは、確定できる。ということなんです。
  ではですね。お話をしている人、話者は反省をしていますか。それともしていませんか。どっちかに手を挙げます。反省している?していない?さっきの授業の影響ですね、これはね。これは、反省はしております。最後の行が、証拠です。ですが、最初っから反省していますか。そうだと思う人?そうじゃないと思う人?えらい、そうです。最初っから反省してないんです。途中からです。どっから反省してるんですか。指を置きなさい。どっから反省しましたか。
  となりと見合ってごらん。指、置いてない人、いない?ずらして構いませんからね。では、手を挙げます。1は違う2?3?4,5,6?7?8?9?10?そういう風に分かれるはずなんですね。はい、では6以降しか手が挙がらなかったので、見てみます。6以降です。その中に、気になる言葉、変な言葉がある。8行目です。風もです。もというのは、他にもあるという意味だよね。じゃあ、風もふいているようの他に何があるんですか。言える人?はい、後ろの方、おっきな声で。
子役 地球が回っている。
伴 それが1つね。
子役 引力があることです。
伴 そうです。それが2つめです。この三つが並んでいるということです。この3つが並んで、だから何なんだ、ということです。言える人?何人かいますね。これは4文字です。この部分。最初は、これです。
  この3行は何ですか。言い訳をしてるんです。
  ということは、反省してたのかもしれませんね。授業、終わります。

 伴先生の授業の流れを簡単にまとめると、次の流れになります。

1)詩の中にある言葉を抽出し、オノマトペについて教える。
2)話者がどこにいるか、履き物を履いてるかなど、オノマトペを証拠にして、どうなのかを考えさせる。
3)どんな物がこわれたかをオノマトペを証拠にして考えさせる。
4)オノマトペを抽象語に変換させる。(ゆらゆら→不安定など)
5)話者はどこから反省してるかを考えさせる。

 抽象語への変換は、3年生には難しいでしょうね。(昨年度まで東京書籍の3年国語の教科書に載っていた。)
 6~8の3行を言い訳と分析するところが、素晴らしいです。

(2015.4.15)