『「学力」の経済学』で中室さんは「家庭の資源に格差がある中で、すべての子どもに同じ教育を行えば格差が拡大していくだけ」だと書いています。
一橋大学の川口教授の研究によれば、ゆとり教育の一環として学校週休2日制が導入された2002年の前後で比べると、子どもたちの学習時間にはある変化が見られました。親の学歴によって、子どもの学習時間に顕著な格差が生じていたのです。
九州大学の武内准教授らの研究でも、学校週休2日制が始まった後に、とくに高所得者層が子どもの学習費(とりわけ塾などへの支出)を増加させたことが明らかになっています。このように、ある世代の子ども全員を対象にして「平等」に行われた政策は、親の学歴や所得による教育格差を拡大させてしまうことがあるのです。
今まで週6日あった学校が週5日なれば、子どもの学力が落ちるのではないかと考える親は、多いでしょう。
学歴の高い親は減った学習時間を別のどこかで確保しようと考え、お金がある親は学習塾に通わせようと考えるわけです。
平等な政策だからこそ、格差を顕著にするのです。
教師は学級の子ども全てに同じぐらいの指導をしたいと考えているでしょう。
でも、それは逆に格差を広げる指導なのかもしれません。
できない子ほど厚く指導すべきなのでしょう。(できる子にはどうするか?)
(2015.10.22)