学習性獲得機能の必要性

 岡本浩一『上達の法則~効率のよい努力を科学する~』(2002.5PHP)より。

 学校教育の教育機能は大きくふたつをあげることができると思う。ひとつは、学ばせる必要のあることを身につけさせる、という機能である。これを「知識習得機能」と呼ぶことにする。
 もうひとつは、学ぶ経験をとおして、自分の能力への信頼感や、将来も必要なことを身につける意欲や、自分自身の知的成長と人格的成長について内発的動機を持たせるという機能である。これを「学習性獲得機能」と呼ぶことにしよう。

 岡本氏の述べる上達の法則は、学習性獲得機能に含まれるそうです。
 各教科の学習内容を少し思い出すだけでも、学ばせる必要のないことは、多々あります。例えば、分数の計算。これほど算数の中では時間をとって教えているが、実生活で使うことはまずないです。逆に、それほど時間をかけない概数の概算は、買い物をするとき、何となく使ってたりします。
 ただ、学習性を獲得するためと考えれば、どんな学習内容であっても、そのことを達成できるわけです。異分母分数の加減で、分母部分が通分でき、さらに約分したり、仮分数を帯分数に直すことができるということを通して、決められた手順にそって、やるべきことをやれば、正答(成功)にたどり着けるという確信を手に入れられるかもしれないのです。

(2015.11.26)