先ず勝つ可からざるを為して

 長尾一洋著・久米礼華まんが『まんがで身につく孫子の兵法』(2014.12あさ出版)で、いくつかの孫子の兵法が載っています。例えば、
「昔(いにしえ)の善く戦う者は、先ず勝つ可(べ)からざるを為して、以て敵の勝つ可きを待つ。
 勝つ可からざるは己に在り、勝つ可きは敵に在り。(軍形篇)」
があります。相手が勝てないように自軍を守り、相手の弱点が分かれば勝てる、というような意味です。

 状況が厳しくなってから、慌てて手を打とうとしても、時すでに遅し、となってしまうでしょう。よく景気が悪くなって倒産したという企業の、真の倒産原因は、景気悪化ではなく、景気のよい時に過剰投資や放漫経営など倒産の原因を作っていたという指摘がされます。

 学級経営もこれに似ています。
 状況が悪くなってからでは打てる手は少ないのです。まずは、状況が悪くならないように、学級のシステムをきっちり築き、小さなほころびがあれば早め早めに対処すべきなのです。
 自分のやりたい実践、やらせたいことなどは、子どもたちに一定の力がついてきてから、取り組むべきなのです。
 まずは足下を固めることが大切なのです。

(2016.4.4)